コラム

2016/10/01

栄光の陰に新球場(茨城・KN)

栄光の陰に新球場


▼広島東洋カープがセ・リーグ優勝を果たした。四半世紀ぶりの歓喜の瞬間、ファンの喜びもひとしおだったろう。親会社からの積極的な経営関与がないため、常に資金面の不安がつきまとい長きにわたり低迷した。復活の要因には計画的な選手育成やベテラン選手の復帰などが挙げられるが、2009年に建設された新球場の影響も大きいと感じる


▼初代広島市民球場は、建設から50年以上が経過し老朽化が深刻だった。選手が難色を示す球場ではファンの足も遠のく。成績の低迷もあり観客動員数は減少の一途をたどり、球団はさらに厳しい資金繰りを強いられるという悪循環に陥っていた


▼新球場の建設は負の連鎖を断ち切る大きなきっかけになった。内・外野天然芝のグラウンドは身体への負担が少なく、選手からの評価も高い。ファウルグラウンドを可能な限り狭くすることでプレーの臨場感を高めるなど、観客が楽しむための配慮もされた。観客動員数は高い水準を保つようになり、経営は安定。選手も大勢の観客の中、魅力ある球場でプレーできることでモチベーションが向上。これは近年の若手選手の成長とも決して無関係ではないだろう


▼野球に限らず競技をするのは選手であり、観客は選手のプレーを見るために球場へ足を運ぶ。選手が全力でプレーし、観客が楽しく応援するためには十分に整備された施設は不可欠なものだろう


▼リオ五輪が閉幕し、次はいよいよ東京五輪。建設が進められている新国立競技場をはじめとする競技施設が選手と観客にとって魅力的な施設となることが五輪成功には必要だ。期待して完成を待ちたい。(茨城・KN)


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