コラム

2016/12/02

当たり前の便利さに感謝を(茨城・HS)

当たり前の便利さに感謝を


▼2013年に噴火した小笠原諸島の西之島は、東京からはるか1000㎞の位置にある。ようやく火山活動が落ち着き、つい先日、研究者グループが初上陸を果たした


▼島全体の面積は噴火前の約12倍、2・7平方㎞にまで広がった。東京ドームの広さに例えると、約57個分に相当するという。排他的経済水域は50平方㎞、領海は70平方㎞拡大するようだ。国土の狭い日本にとっては、少なからぬ自然の恩恵になる


▼研究者たちは、途中まで船で近づき、外来種が入らないようその後は泳いで島に上陸した。生態系の観測や岩石の採取など、さまざまな調査が行われることだろう。何か新しい発見があることを期待したい


▼こうした調査も大切だが、それに負けず劣らず重要なのが測量だ。国土地理院では上陸隊に職員2人を派遣。基準点となる三角点を複数設置し、人工衛星を使ったGNSS測量で緯度と経度を決定する。また、測量用航空機で空中写真撮影を行い、地図を更新する。ホームページには7月にドローンで撮影した空中写真も公開している。新しい地図がどんなものになるのか楽しみだ


▼測量は地図の作成や土地の状態把握に欠かせない作業。伊能忠敬が本格的な測量を行ってから200年以上が経過した。その間、測量技術は目まぐるしく進化し、社会に豊かさをもたらした。速度、精度ともに向上し続けるカーナビはその最たる例といえる。便利さが当たり前になると、どうしてもその過程は忘れ去られてしまうもの。日ごろカーナビに頼りきっている身としては、せめて感謝の気持ちを忘れずにいたい。(茨城・HS)


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