コラム

2017/02/25

当然あるべきもの(群馬・OS)

当然あるべきもの


▼来る日も来る日もピンポンピンポン。マンションの住人にインターネット回線を紹介する仕事をしていた。大抵はインターホンの時点でお断り。ドアが開いたかと思ったら世間話を延々されたこともある。ただ中にはネット回線を引きたいが手続きが分からず困っていたという人も。回線契約を代行し、パソコンの基本設定まで行う。暑さ寒さは厳しかったが、マイペースで仕事ができ、何より人に喜んでもらえるこの仕事が好きだった


▼よく考えもせずに入った会社。「モノと同じ扱いだよ。ありえない」そう言って家族は反対した。社内の雰囲気は良く、給料もそこそこ。休日だってしっかりある。しかしその会社には健康保険がなかった


▼知人に大工だった人がいる。会社に属してはいたが保険は自腹で加入していた国民健康保険だけ。その知人の子は、父親は会社に入っているのになぜ国保なのだろうと、ずっと疑問だったという


▼両親と子の3人家族の場合、収入にもよるが、国保の保険料は月3万5000円ほど。数多くの品が100円ショップに並び、ワンコインで昼食が取れるこの時代。大きな負担である


▼国は建設業の処遇改善に向け、健康保険をはじめとする社会保険などの未加入業者を公共工事から排除し始めた。その対象は元請けだけではなく下請けにも及び、現場への入場も制限する。ただでさえ危険が伴う仕事ゆえに健康保険、労働者としては厚生年金・雇用保険が必要なのは当然のこと。今頃になって問題視していることに、業界の遅れを感じる。まず基本的なことを整えた上で建設業の良さをアピールしてほしい。(群馬・OS)


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