コラム

2017/10/28

あの音、何とかならない?(群馬・OS)

あの音、何とかならない?


▼この世の終わり。その子はそんな顔をしていた。数日前から奥歯が痛み出し、行った歯医者の待合室には小学校低学年の男の子とその母親らしき親子連れがいた。この世の終わりを告げていたその男の子。来る順番を待ちわびるというよりは一生来ないでほしいという顔。歯医者が嫌いなのかと思い見ていると、その子が音に反応していることに気付いた


▼診察室から聞こえてくるあのキーンという音。男の子はその音がするたびに顔をしかめている。「そうだよな」と思わず心の中でその子に共感した。小さいころから思っていた。恐怖感を助長するこの音、本当にどうにかならないものか


▼音といえば、身の回りの音で健康を損なうこともある。義父は建設業に就いて四十数年。大工として数多くの現場に携わってきた。来る日も来る日もトンテンカン、トンテンカン。金づちやドリル、電動のこぎりといった大きな音を出すものに囲まれていた


▼義父は10年ほど前から右耳が聞こえにくくなり、会話するときには左耳を相手に向けている。相手の声が聞こえにくく何度も聞き返したり、聞き取れないときは適当な相づちを打ったりしてその場をしのいでいる。「長年の工具の音でやられたかな」と義父は言うが、はっきりした原因は分からない。職業病だと諦めているところもあるようだ


▼最近は歯を治療する時の甲高い音を抑えた機器も開発されている。建設業も大きな音は付きものだ。現場でも耳栓を使う人が増えたが、未だに嫌がる人もいる。周辺への影響とともに健康被害の恐れもあるので、騒音を軽減する新技術や器具の開発に期待したい。(群馬・OS)


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