コラム

2018/03/28

築城十年落城一日(茨城・KS)

築城十年落城一日(いちじつ)


▼近ごろ「信頼」が問われる出来事が頻発している。自動車メーカーにおける無資格者による安全検査問題や、アルミや銅製品資材メーカーの品質管理データ改ざん事件は、世界に誇る日本のものづくりの根幹を大きく揺るがすこととなった


▼日本の国技でもある相撲界で起きた暴行事件も不信だらけだ。最高峰の位にある横綱が、態度が気に食わないからといって抵抗できない後輩の頭をリモコンで殴打し大けがを負わせたのは常軌を逸している。その後の相撲協会の役員改選でも、数の論理とはいえ人事刷新とはならず、何ともやるせない結果となった。このまま体制が変わらないのかと思うと大相撲ファンとしては不安だ


▼また、新成人の門出を踏みにじるかのような晴れ着レンタル商の詐欺的トラブルも許しがたい。経営者は当初雲隠れしたかに見えたが、騒動がひと段落してから会見を開き「だますつもりはなかった」と謝罪。しかし当事者が晴れ舞台で味わった絶望感は、想像を絶するものだったろう


▼そして仮想通貨ショック。取引所大手のコインチェックから、不正アクセスにより580億円もの大金が流出した。そもそも赤の他人が信頼し合い、実在しない通貨価値を決めるということがどうして成り立つのか不思議で仕方がない。国際決済銀行総支配人も「詐欺的な資金集め」と規制強化を各国に求めている


▼信頼は、人と人が長い時間をかけて築き上げていくかけがえのないものだが、同時にはかない。たった一度のミスで一瞬にして崩れ落ち得る。新聞制作でも建設業でも同じ。常に危機意識を持ち、信頼を裏切ることのないよう業務に当たりたい。(茨城・KS)


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