コラム

2019/01/29

人手不足と外国人労働者(群馬・TH)

人手不足と外国人労働者


▼外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正が国会で成立し、ことし4月に施行されることになった。これまでは専門的・技術的分野の高度人材に限定していたが、各方面で叫ばれている人手不足に対応するため、単純労働者も受け入れ始める


▼通算5年滞在できる特定技能1号と、在留資格が更新できる専門技術的な労働者の同2号の2種類の在留資格を設定。1号の対象は建設、農業、介護など14業種となっている。2号は高度専門職と同様に家族の帯同や転職も自由。一方、1号は家族と一緒に来日できない


▼外国人の労働力を呼び込むための制度づくりは順調に進んでいるようにみえる。しかし現行の技能実習制度の中で問題視されている悪質なブローカーの介在や最低賃金以下での労働、人権侵害、失踪などのトラブル解決に向けた議論は十分ではない。日本の恥とも言えるこういった問題を改善しないまま、新制度を導入することについては疑問を感じる


▼法務省は、技能実習生の失踪理由として87%が「より高い賃金を求めて」と発表。しかしそのほとんどが最低賃金割れしており、さらに全体の10%が過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働を行っていた。その他の理由としては、厳しい指導や暴力、セクハラなどが挙がり、失踪して当然の状況下だった


▼外国人労働者の受け入れは日本の産業にとって不可避となっている。しかし日本人がやりたくない内容や条件の仕事を押し付けることと、外国人労働者を受け入れることは完全に別。現代の奴隷制度と揶揄(やゆ)する声を払拭(ふっしょく)する努力が官民に求められている。(群馬・TH)


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