コラム

2019/02/28

壁を乗り越えられるか(東京・KK)

壁を乗り越えられるか


▼アメリカのトランプ大統領が打ち出したメキシコとの国境に壁を建設する計画が再び注目を集めている。大統領選挙時の公約ではあるが、賛成派と反対派の対立により、政府機関が一時閉鎖される事態を引き起こした。トランプ大統領は非常事態宣言を行うなど今後も予断を許さない状況にある


▼昨年発生した大阪北部地震を受け、日本ではブロック塀の安全確保に向けた取り組みが進んでいる。地方自治体が指定する避難路沿道のブロック塀等は耐震診断が義務付けられ、除却、建て替え、改修する場合の支援制度も整った。真に必要な壁であるならば、安全性の観点から簡単には倒れないようにすることも重要になる


▼壁と言えば「面壁九年(めんべきくねん)」の言葉がある。達磨大師が中国の少林寺で壁に向かって九年間座禅し、悟りを開いたという故事が由来。一つのことに忍耐強く専念すること、長い間わき目もふらずに打ち込んで努力することのたとえである。「石の上にも三年」の3倍も努力が必要と考えると気が遠くなる話だ


▼壁は物理的に存在するだけではなく、人間の心の中に存在するものも多い。自分で勝手に壁を作り、情報や交友関係を遮断してしまうと、その壁を壊すのは簡単ではなく、他人が乗り越えるのも難しい。不要な壁は、つくらないに越したことはない


▼それぞれに高さや役割が違う壁であるが、人間にとって壁を打ち破り、乗り越えることは自らの成長につながる。壁は越えられないと諦めることは簡単だが、諦めずに挑戦する姿は、きっと誰かが見ているはず。「壁に耳あり障子に目あり」のことわざもある。壁を甘く見てはいけない。(東京・KK)


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