コラム

2019/04/24

付加価値を付けて売る(埼玉・UT)

付加価値を付けて売る


▼年に数回、古本屋チェーン店に足を運び、幅広いジャンルの本を買うことが楽しみの一つとなっている。何度か利用しているうち、余白などに書き込みしてあったり、文中に線が引いてある品物は価格が安いということが分かった


▼先日、ある人気作家のハードカバーの作品が最低価格帯で売られていた。手に取ってみると、表紙の裏に大きなサインが書き込まれていた。店員が価格を決める際に、書き込みがあるために安い金額設定にしたのだろうか。あるいは作者本人のサインではないと見破った上かもしれない。もう一つの可能性として、おそらく作者本人のサインと認めた上で、それでも安くしたことが考えられる


▼一般的には著書に作家本人のサインが入っていれば、より貴重なものと判断されるだろう。ほかにはない独自の価値、つまりは付加価値が付いたものといえる


▼公共工事の施工者は通常、設計図書通りに工事を仕上げて竣工し、発注者の検査を受ける。税金を使っているので当然。きちんとした施工、真面目な施工が求められる。奇をてらった工事は論外だろう


▼ただ、ちょっとした工夫についてはどうだろう。実際に現場で汗をかいている受注者が「この工事では、絶対にこうした方が発注者にとっても地域にとっても良い」と感じた場合、監督官の理解を得つつ、前に進めてほしい。いわば付加価値を付けた施工が増えてほしい。多くの発注者が運用している工事成績評定の考査項目には「創意工夫」もある。こうした施工を高く評価して表彰するサイクルができれば、今よりもっと魅力のある、わくわくした建設業界になるのでは。(埼玉・UT)


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