コラム

2019/05/11

みんなで現場を見よう(新潟・HT)

みんなで現場を見よう


▼一昔前までは知らない場所を訪ねる際には苦労したものだ。地図上でしっかり予習してから出掛けたつもりが、こっちは一方通行、そっちは右折禁止。知っていると知らないとでは大きく違う。今はカーナビが当たり前の時代となり目的地を入力するだけでそれまでの道のりや過程、最善の選択は機械が判断してくれる


▼法面工事のベテラン技術者が「山の災害対策と一口に言っても、落石と地すべりとでは対策工法がまったく違うのは当然だ」と少し怒り気味に言い放った。春先で工事を再開する際に発注側との打ち合わせがうまくいかなかったらしい。現場に入ってから突然工法の変更が迫られたケースで、設計を担当したコンサルタントに確認を取って、上司の了解を得てから判断する、と返答されたそうだ


▼確認を取っている間にも刻々と現場が変化する場合もある。さらに「昔は役所とコンサル、建設会社が一緒になって仕事をしたもんだ。役所からも仕事を教わった。いま現場を知っているのは50代以上の部長、課長クラスぐらいではないか」と続けた


▼発注前、調査段階、工事着手段階で対策が変わる場合でも現場を知っていれば判断も早い。特に災害対応など、すぐに対策が必要な場合は持ち帰ってからでは遅い。石川県では人事異動で当時の対策、工法が分からない人が着任しても、検査などの際には当時の現場担当者が対応し、異動していても戻って応じているそうだ


▼改正品確法に定められた発注者の責務だが、結局判断するのは人である。まずはみんなが現場を見ることで不要な問題を解決できる場合もあるのではないか。(新潟・HT)


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