コラム

2019/05/24

地元を見つめる(山梨・HI)

地元を見つめる


▼ある日、取材先の駐車場で「いざ会社に戻らん」と車に乗り込もうとしたときのことだ。「すみません。総合福祉センターはここからどう行けばいいのですか」と道を尋ねられた。「ああ、あそこなら」と言葉を発した瞬間、体が固まった


▼どうしたものか。目印となりそうな建物の色も名前も出てこない。目的地の案内板は道路から見えにくく、標識を使った説明も難しいだろう。頭をフル回転させた結果、結局は目的地までの信号機の数を頼りに説明することしかできなかった


▼もっと分かりやすい伝え方はなかったのか。会社へ車を走らせながら考える。土地になじみのない人に対しては、やはり特徴的な建物の色を起点に教えることが分かりやすい。だがゆっくり思い出そうとしても、肝心の色が一向に出てこないのだ


▼後日、そのルートを検証してみた。通りすがりにいつも目にする飲食店やガソリンスタンドが視界に入った瞬間、ここ数日もやもやしていた頭の霧が晴れ、脳細胞が著しく活性化されるのを感じた。いかに普段、何気なくまちなかを走っているのかを痛感した出来事だった


▼県内の観光地では夏のトップシーズンを控え、県外・国外の団体客を多く目にするようになった。見知らぬ景色や食べ物、その場所でしか体験できないことなど、旅行の醍醐味(だいごみ)は数え切れない。だがそれは県外のみに限ったことなのだろうか。ひょっとしたら気が付いていないだけで、身近には魅力的なスポットがあるのかもしれない。地元を駆け回っていた子どもの頃を思い起こし、旅行先として県内に目を向けることも一興なのではないだろうか。(山梨・HI)


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