コラム

2019/05/25

多くの栄一を迎えたい(茨城・KN)

多くの栄一を迎えたい


▼5年後、財布の中の顔ぶれが変わる。麻生太郎財務相が紙幣の刷新を公表し、1万円札が渋沢栄一、5000円札が津田梅子、1000円札が北里柴三郎になることが決まった。現在の福沢諭吉、樋口一葉、野口英世と総入れ替えになる。1万円札の肖像が変わるのは約40年ぶりだ


▼40年弱の記憶の中で最も古い肖像画は1万円札と5000円札の聖徳太子、伊藤博文が1000円札だった。岩倉具視の500円札を握り締めて駄菓子を買いに行った記憶もかすかに残っている


▼小学校に入学したころは福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石に世代交代。以降、学生時代はずっと彼らと付き合い続けた。ちょっとした買い物に使ったのは1000円札の漱石。最もひんぱんに出会い、別れを繰り返したのは彼だろう。お年玉をもらった時は「何人の諭吉に出会えるだろうか」と胸が高鳴った。5000円札の新渡戸稲造は前出の2人に比べて少し知名度が低く「何をした人なのだろうか」と興味を持って調べたりもした


▼記憶に新しい、と言いたいところだが、すでに発行から20年近く経過しているのは2000円札。沖縄サミットと2000年を記念して発行された。現在はほとんどが沖縄県で流通しているらしい


▼平成が終わり、令和の世に登場する新たな紙幣。公表された見本には少し違和感があるが、財布の中に入れておけば、やがてなじんでいくだろう。これからキャッシュレス化はさらに進むだろうが「現金を手にする」という行為には格別の魅力がある。たくさんの栄一を手にできる日が待ち遠しい。そのためにも、しっかり働かねば。(茨城・KN)


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