コラム

2019/08/10

呼び方一つで…(群馬・TH)

呼び方一つで…


▼土や砂を掘る道具と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。バックホウなどの重機ではなく、人の手を使うもの。片手用の小型の道具と、両手や足を使う大型の道具が浮かぶはず。では、それぞれ何と呼ぶか


▼おそらく小さい方を「ショベル(シャベル)」と答える方が多く、逆に大型のものが「スコップ」となるはず。実は両者の呼び方は東日本と西日本で逆になるという。東日本で発行している弊紙の読者は小さい方をショベル、大きい方がスコップが多数派を占めることになるだろう。私は西日本出身なので少数派だ


▼JIS規格では、上部が平らで足を掛けて押せるものをショベル、上部が曲線状で足を掛けられないものをスコップと区別する。ある辞書ではスコップを「小型のショベル」と定義しているらしい。ショベルカーをスコップカーと呼ばないことから、大きなものがショベルというイメージもある。土木現場では、剣のような形をしたものを「剣スコ」四角いものを「角スコ」と呼ぶことがあるらしい。この場合は両方スコップだからややこしい


▼先日、ツツジの植栽ボランティアが行われ、その記事を書いている際に気が付いた。周りの記者や業者に聞いても、大きい方がスコップと言う。とりあえず、記事上では『道具を手に取り』という表現に逃げたのだが、言葉の面白さや深みを感じた


▼両者のはっきりとした違いは語源。ショベルが英語、スコップはオランダ語。ほんの小さな違いだが、読み手が受けるイメージに大きな差が出る。言葉を扱うプロとして、正確に伝わる記事を書かなければならない、とあらためて痛感した。(群馬・TH)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら