コラム

2019/09/18

チームプレーと待遇改善を(茨城・MK)

チームプレーと待遇改善を


▼終盤戦を迎え首位にいるプロ野球のチームを見ていてある選手を思い出した。広島と阪神で活躍した金本知憲(ともあき)氏だ


▼金本氏は現役当時「鉄人」と呼ばれ、連続フルイニング出場の世界記録を持つ。それ以上に印象に残っているのは2002年に阪神に移籍し中心選手としてリーグ優勝に導いたこと


▼移籍1年目の金本氏の成績は打率2割8分9厘、本塁打19本と不本意だった。その裏には個人の記録よりもチームの勝利のために自分の打撃を封印したことがある。1塁走者が盗塁できるよう絶好球を見逃したり、走者を次の塁へ進める打撃を続けたり。個人記録ばかりを意識しているチームは弱いといわれる。しかし金本選手はチーム打撃に徹した。「助っ人役を期待されていたであろう私が率先してチームプレーを見せれば、周りの選手の意識も変わるのではないかと考えた」と著書『覚悟のすすめ』で記している。金本氏がチームプレーを続けることに比例してチームの成績も上がっていった


▼そんな金本氏は契約更改の際、提示された年俸の一部を「裏方の人たちの待遇改善に使ってほしい」と申し出たことがある。優秀な打撃投手やトレーナーをそろえ、チームに愛情を感じてもらおうという思いからだった。裏方の待遇が良ければ人材が集まり、技術力も上がる。モチベーションも上がり、選手の実力向上にもつながると考えた


▼技能者の待遇改善が課題となっている建設業界。〝裏方〟ともいえる技能者の処遇改善は、仕事に対する愛情が高まり、キャリアアップにもつながるだろう。チームプレーと待遇改善。強いチームには共通点がある。(茨城・MK)


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