コラム

2019/11/08

安全対策とジレンマ(山梨・HI)

安全対策とジレンマ


▼歩行者の列に車が突っ込んだなどと全国ニュースで取り上げられるたび、コメンテーターは「事前に対策ができた」と口をそろえる。この意見には賛成するし、第三者の視点でこれが最適な回答なのだろう。しかし予算は限られる。どこまで安全対策を講じるべき範囲なのか、その境界線は何なのか、テレビに映る悲惨な映像を見ながら疑問に思った


▼最近印象に残っているのは、大阪北部地震を受けてブロック塀の撤去が進んだことや異例の猛暑を受けて学校のエアコン整備に乗り出したこと。事後の教訓から整備が進むことが目立つ。「事故が起きてからでは遅い」との意見はごもっとも。自治体の議員要望でよく耳にするフレーズだ


▼しかし自治体側の答弁も理解できる。限られた予算で広い面積をカバーするわけだが、ハードばかりに目を向けられない。人口減少が自治体に与える影響は税収面からも甚大。子育て世帯向けの助成事業も必要だし、難しい立場なのだろうと察する。だからこそ優先付けを行うためにこうした議論は大切で、それが事前予防への一歩につながると思っている


▼だが、一番効果的な解決策に至るには国がどれだけ前のめりになって予算を編成するかが大きい。先のエアコン整備の際には、寒冷地でも一斉に整備が進んだ。取材すると「児童・生徒の体調面を考えて」とのことだが、やはり「補助金の存在も大きい」と語る


▼国土交通省は全国自治体のエレベーターで、安全装置設置の調査に取り掛かる方針だ。報道によれば設置率は5割未満。これを機に全国でエレベーター事故の予防措置が進むことを願う。(山梨・HI)


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