コラム

2020/04/04

備えは誰のため?(群馬・TH)

備えは誰のため?


▼今季の冬は記録的な少雪だった。ついに一度も、積雪がなく終わった冬は、これまでの人生で記憶にない。3月上旬には春の陽気が降り注いでいた。偏西風の蛇行と北極振動が背景にあるらしい


▼「寒いより暖かいほうがいい」「暖房費が抑えられて助かる」など暖冬・少雪を歓迎する声もある。一方で、そのデメリットは計り知れない。スキー場など冬のレジャーを売りにする施設は大打撃だ。倒産してしまったスキー場もあるという。周辺に構えるホテル・旅館も同じようにあおりを受けただろう


▼建設業も悲鳴を上げている。少雪により除雪の出動が極端に少なかったからだ。大型重機とオペレーターを常に抱えるのは大きな負担となる。日々の待機に費やしたコストを回収するには、出動するしかない。それが極端に減ったとなると、資金繰りが厳しくなるのは当然の流れ


▼今季の冬は暖冬・少雪だと報道されたとしても、大雪に対する警戒と備えは必需。「雪は降り過ぎれば災害。逆に、降らな過ぎても問題。建設業にとっては死活問題だ」と語るのは山間部の建設会社社長。雪による事故や災害が起きなかったことに安堵した後に、少雪で出動の機会がないことに焦る。「(除雪作業は)誰かがやらなければならないことだが、誰にでもできることじゃない」と続ける。できるのが自分の企業だけならば、大雪をはじめとするあらゆる自然災害への対応は使命だという


▼台風・地震・大雪など大規模災害への対応は脚光を浴びるが、除雪などの日々の維持管理は埋もれがち。縁の下の力持ちとして支える存在にも光を照らしていきたい。(群馬・TH)


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