コラム

2020/06/12

おかずじゃないんだから(山梨・OS)

おかずじゃないんだから


▼不要不急の外出は控えてスーパーで買い物。にんじん、タマネギ、ほうれん草、そして最近よく食べているブロッコリースプラウト。がん予防に効果があるらしい。刺身を見ると、まだ割引シールが張られていない。でもピカピカに光ったマグロは「買っておくれ」と言っている


▼山梨県民はマグロが大好き。世帯当たりの消費量は全国有数だ。妻に買おうかと聞くと「高いから今日はいらない」。「えー、なんで?」とごねるも、一言「高いから」と、にべもない。こういう場合、これ以上抗戦に出て良い結果が出たためしはない。潔く撤退することにする


▼「30億は高い」。山梨・富士川町の庁舎建設で、ある町議が異論を唱えた。町は建物本体だけでなく、造成や道路整備に費用がかかると説明。1㎡当たりの建設費も相場と言える額。さらに合併推進債などを活用することで町の負担は半額程度で済むと強調した


▼町議は他の町の庁舎建設を引き合いに出した。だがその町とは「日本一人口が少ない町」で、到底比較対象にはなり得ない。これなら安く済むと出した代案も、耐震性や防災機能、窓口の利便性、将来的な改修費などを考えると、良案と言えるものではなかった


▼公共事業に関心を持ち、問題点を指摘するのは推奨すべきこと。ただ立案された計画は、役所の職員や設計者が日夜考え抜いて出したもの。街中に「のぼり旗」を出してまで反対するのであれば、まずは「なぜ高いと言えるのか」を、はっきりさせるのが筋。億単位の額を前に「高いわねぇ」と、ため息をつくのも分かる。ただ「かかる」ものは「かかる」のである。(山梨・OS)


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