コラム

2020/07/07

使命の基盤づくり(埼玉・IK)

使命の基盤づくり


▼「こん棒を携え、穏やかに話せ」。外交方針についてそう表現したのは米国の第26代大統領セオドア・ルーズベルト。中米諸国への武力干渉といったカリブ海政策を捉えた一節で、19世紀末以降活発になった帝国主義の実態を表す一例だ。そんな歴史的人物の銅像がニューヨークの自然史博物館から撤去されるとの報道を聞き、違和感を覚えた


▼発端は、米国内で広がった黒人差別への抗議デモ。白人の大統領が馬に乗り、先住民と黒人を従える構図が人種蔑視に当たると判断されたらしい。差別的と指摘されれば確かにそうだが、当時の社会状況を現代の価値観で糾弾する風潮には疑問が湧く。歴史認識はできる限り客観的に形成すべきというのが個人の見解だ


▼帝国主義が隆盛となった背景には、利潤の拡大を求める金融資本主義の発達がある。植民地政策で乗り遅れることは、国家の存亡に関わる一大事だった。ルーズベルトの「こん棒外交」も、時代の渦中で進まざるを得ない針路であったとの見方もできる。歴史に対し、ある一つの観点だけで評価を下すのは、かえって過去の教訓に学ばない結果につながる恐れがあるのではないか


▼混乱した世論に危機感を抱き、公正・公平な言論を追求するのは報道機関の役目。さまざまな立場や解釈を検討し、社会の英知を高めるという使命感を記者は忘れてはならない。こうした責任は業界専門紙も同じはずだ


▼海外のニュースに触れ、良質な記事を提供したい思いが新たになった。当面の目標はプラットフォームの実現。建設業へのアクセスの入り口となる新聞(基盤)づくりに全力を傾ける。(埼玉・IK)


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