コラム

2020/07/15

ウナギの寝床の研究(新潟・SS)

ウナギの寝床の研究


▼「土用の丑の日」を知らせる新聞チラシやスーパーのポスターなどが目に入るようになった。ウナギの稚魚シラスウナギの捕獲量が壊滅的だった昨年は、稚魚や成魚の輸入も少なかったことからウナギの値段が高騰した。今年は稚魚が比較的豊漁で輸入量も安定したため、多少リーズナブルに食べられそう


▼日本人が1年に食べるウナギは約10万tと言われ、天然ウナギは約300tで99%以上は養殖を食べていることになる。養殖ウナギは冬から春にかけて海から河口付近に集まるシラスウナギを捕獲。これを養殖業者が買い取り養殖池などで育て、食用ウナギとして出荷する


▼ウナギは長年、生態が不明で完全養殖が難しいとされてきた。日本では60年以上も昔から養殖の研究が進められているが、旧水産総合研究センターが完全養殖に成功したのが2010年で、50年近くの歳月を要している。しかし稚魚の飼育には多くの手間がかかることから、完全養殖ウナギが家庭の食卓に上がるのはもう少し先の話になりそうだ


▼日本の養殖ウナギに使用されるシラスウナギは年間で1億尾とも。ところがシラスウナギの捕獲量は年々減少し、近年は50年前の20分の1程度。捕獲量減少の要因の一つとして河川環境の変化が指摘されており、河口堰がニホンウナギの遡上を阻害していることや、コンクリート製の護岸・護床が増えてウナギの寝床が減少したことも要因とされている


▼ウナギの研究は現在、養殖などの水産学や生態など環境の観点から研究が進められている。今後は河川工学なども協力してウナギを守るための河川整備の研究が進むこと願う。(新潟・SS)


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