コラム

2020/07/28

知らないを知る(東京・CK)

知らないを知る


▼知らないことでも、知っているそぶりをしてしまう時がある。いわゆる知ったかぶりと言われる行動だ。「知らないことは恥」という心理のミスリードによるものだが、むしろ大きな恥をかいてしまうこともある。この一種のプライドのようなものが邪魔をしてしまい、新たな知識を得られない時もあっただろう


▼一方で「木を見て森を見ず」という言葉があるように、物事の一部を見て全てを知っていると勘違いしている人も存在する。中には、少し学んだ知識を盾にして批判や批評を行う人たちがいる。最近、こうした存在が専門家たちを悩ませていると耳にした


▼例えば、ある施策を考えた時、素人が思い付く意見や方法の多くは、すでに検討されている場合が多い。専門家が結論づけた施策や方針に賛否はあるものの、付け焼き刃の知識だけでは考えていないのは確かだ。それは、専門家はほとんどの場合、その分野においては誰よりも知識や現場での経験が数多くあるなど、積み重ねてきた「知る」の質が違うからだ


▼「知らざるを知らずと為(な)す是(これ)知るなり」。中国の思想家として有名な孔子が、弟子に伝えた言葉をまとめた論語に書かれている言葉だ。これは「知らないということを知らないと自覚することが、本当に知るということだ」という意味だ。知ったかぶりも森を見ない人たちも、まさにこの一言に尽きるのであろう


▼知らないということを知るためには、勉強だけではなく人から学ぶことも多い。知識や見解を広げるためにも、おごることなく謙虚に物事を受け入れる姿勢が大切だと、あらためて感じた。(東京・CK)


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