コラム

2020/09/01

基本を超えるもの(新潟・CY)

基本を超えるもの


▼宇宙飛行士の兄弟を描いた漫画「宇宙兄弟」の一幕。月面でクレーターの谷底に転落し、通信機能を失い、助けを呼ぶことも位置を知らせることもできなくなった弟・日々人(ひびと)。相方ダミアンの宇宙服は衝撃で温度調節機能を失い、危険な状態に


▼事故のときは動かずに助けを待つのが基本。だが月の表面温度は永久影ならマイナス150度ほど、かと思えば日なたは120度。大気がない環境はかくも厳しい。日々人は負傷したダミアンを担いで谷を登るが、転落。宇宙服の酸素ボンベが破裂する。NASAは基本どおりにとどまっているという判断で救助を送る。兄・六太(むった)は、弟は動くはずだと離れた位置を示すも、受け入れられない。しかし先輩宇宙飛行士の機転で、兄の示した位置に酸素補給マシンを自動で向かわせる。それが功を奏し、九死に一生を得て、二人は生還する


▼このシーンが浮かんだと言ったら大げさか。マスクの代わりになるマウスシールドを開発した若手設計集団スケール。工事現場でもマスク装着は基本だ。そんな中、現場のリスク回避を考え抜き、その名も『涼し~るど』を生み出した


▼決まりだから仕方がない、何かあった場合の責任…。さまざまな壁にぶち当たりながらも、この夏を目指し彼らは走った。かくして安価で手軽に入手でき、ヘルメットに取り付け可能なシールドは生まれた。ホームページからデータをダウンロードでき、ハサミとクリップ、A4サイズのクリアファイルがあればOK


▼高温以外にもマスクをつけたくてもつけられない場合もある。基本は大切だ。生死を左右するような時の的確な判断は、もっと大切だ。(新潟・CY)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら