土木施設の魅力（群馬・ＹＴ）

土木施設の魅力

▼まだ小学生のころ、家族で観光地に向かうために車で走っていた際、とある風景に目を奪われた。一見トンネルのように見えたところへ入ると、片側が開いており外の景色が見える。薄暗い中に日の光が差し込む風景が幻想的で、どこに観光へ行ったかは忘れているのに通り抜ける短い間の美しい風景が今も心に残っている。その風景を作り出していたのが、スノーまたはロックシェッドだと分かるのは入社後のことだった

▼入社後は、取材先へ向かうために必ず通る道にロックシェッドがあり、毎週のように中から見る風景を楽しんでいた。初めてスノーシェッドの改修工事について取材したときには、好きな施設について聞けたことがうれしく感じたことを覚えている

▼しかし、周りの人にその魅力を伝えても理解してもらえないことが多い。多くの人が集うＳＮＳやインターネットでも写真が投稿されていることは少なく、知名度の低さにがっかりしてしまう。橋梁やダムなど、他の土木構造物の写真が多く投稿されているのを見ると、少しうらやましい

▼シェッドが設置されているのは山間部が多く、車を止めてじっくりと写真を撮影できる場所は多くないように感じる。ダムのように観光地として目的地となる場所ではないのも影響があるように思う

▼今、官民問わずに土木施設の魅力を伝えるための取り組みが多く行われている。魅力ある風景は自身のシェッドのように、子どものころに一度見た風景が忘れられずに土木、ひいては建設産業に対するファンを生み出す効果がある。一人の土木ファンとしても取り組みの発展を期待したい。（群馬・ＹＴ）