コラム

2020/12/10

幼い旅から学ぶ損得(山梨・HI)

幼い旅から学ぶ損得


▼将来子どもが通う学校が統合することになった。有力地までの距離は今より遠く、条件は劣るが候補地はほかにも近場で存在する。もしも当事者の立場にいたら、有力地を受け入れるか、反対するか


▼文部科学省では、小学校の通学距離の基準を4㎞以内と設定している。安全面から距離が近いに越したことはないが、統合を検討する自治体の調査によれば、新校舎の候補地から5㎞以上の家庭もあるようだ。もし子どもが遠くから通うことになる場合、その保護者は何を思うのだろう。取材中、ふとそんな疑問が湧いてきた


▼小学生の頃を振り返ると、通学路が果てしなく長く感じていた。「早く遊びたい」と、走っては歩いてを繰り返し、急いで家に帰っていた日々を思い出す。通学も毎朝家を早く出なければならなかった。不満たらたらで駄々をこねていたが、そのときの両親の言葉は、懐疑的であれど印象に残るものだった


▼通学距離が長いことは損なのか、考え込む。長い道中、どぶに入ったり、花の蜜を吸ったり、つららをかじったりと、そこにはたくさんの発見があった。疲れはすれど退屈することはなかった。あのとき、両親は「この経験は大きくなった時に生きてくる」と幼い子どもを励ましていた。学校に通学することは小さな旅と言える。旅の副産物はきっと将来の糧になると思っている


▼何事においても損得の判断は難しい。隣りの芝が青く見えることもしばしばある。「いいなー」と、勝手に落ち込むこともある。だけど、解釈次第でいくらでも得に変えられるんだ。ひょんなことからそんなことを考えた。(山梨・HI)


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