コラム

2021/01/09

名前負けしないように(茨城・TI)

名前負けしないように


▼先日、取材のあいさつの時に「珍しい名字ですね」と言われた。確かに家族以外で同じ名字の人に会ったことはない。以前調べた限りでは関西圏に多いらしく、滋賀県には地名として存在している。特別難しい字を使っているわけではないのだが


▼珍しい姓といえば、「四月一日(わたぬき)」や「一(にのまえ)」が思い付く。四月一日は春の衣替えで衣服や布団から綿を抜く日付に由来し、一は分かりやすく二の前だから。難読の名字では「小鳥遊(たかなし)」も有名で、天敵のタカがいないために小鳥が遊べるという意味だ。もちろん諸説あるが、説得力はある


▼少し話が変わるが、「渡辺」や「坂田」の姓は節分の豆まきが必要ないという。平安時代の武将である渡辺綱と坂田金時が鬼を退治し、鬼に恐れられているためだ。知らないだけで、名前が持つ意味や由来は多数あり、驚かされるものばかりだ


▼いま、はやっているか分からないが、当時は学校の授業で自分の名前の理由や由来を調べるというものがあった。近年はキラキラネームという人とは違う、珍しい名前を付ける文化も広がっている。昔から著名人や偉人、流行の作品から名前を取るのはよくあることだ。ただ小説などでいえることだが、創作物として現実と被らないよう、また文字だけでも名前と分かるよう、特徴的なものを採用している場合があり、実際に名付けるとなるといささか首をひねる。いずれにしても本人が胸を張れる名前であれば問題ない


▼新年を迎えて、名前という自らの原点に立ち返った。名に恥じぬよう、気を引き締めたい。名前負けはご愛嬌(あいきょう)だ。(茨城・TI)


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