コラム

2021/01/20

君の言葉を侮るなかれ(埼玉・MK)

君の言葉を侮るなかれ


▼舟木賢徳著『「レジ袋」の環境経済政策』(リサイクル文化社)によると、商店街やコンビニエンスストアなどで使われるレジ袋が開発されたのは1972年までさかのぼる。私が生まれる前の話だが、紙袋からポリ袋へ変遷する現場を目撃していた人々もいらっしゃるだろう。野菜や魚は新聞紙にくるんでいたとのことだが、現在もレジの近くに古新聞を置く店舗は少なくない


▼コンビニやスーパーに立ち寄る際、エコバッグを持ち歩くようになって久しい。環境問題に関心と克己心を持ち、行動を起こした一人の少女が巻き起こした流れだ。一昨年、国連の気候行動サミットに出席したグレタ・トゥーンベリさんによるスピーチを覚えている方も多かろう


▼昨年12月に政府がまとめた「グリーン成長戦略」。住宅や建築物の分野では、高性能断熱材や太陽光発電の導入を推進することを示した。消費電力を再生可能エネルギーで賄い、エネルギー収支を実質ゼロとする「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の普及を目指すという


▼2050年には、各家庭が生み出す再生エネルギーが消費エネルギーを上回るよう目標を掲げる。産業政策において先進国の後塵を拝してきた日本がようやく重たい腰を上げた。これからは温暖化対策を成長の機会と捉え、発想の転換による発展が国力を引き上げる鍵となる


▼自分が手にする袋一枚で、地球全体にどれほどの影響を持つのだろうと疑問を持つ気持ちは理解できる。他方、一人の少女が起こした行動が、日本全国のレジ袋有料化につながったのも事実。侮るなかれ、という声がどこかから聞こえる。(埼玉・MK)


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