コラム

2021/03/20

いつも道理が第一(茨城・KS)

いつも道理が第一


▼日本三名園の一つ、水戸市の偕楽園で3月、デジタル分野のプロ集団「チームラボ」が光のアートを創り上げた。午後6時から8時に展開される、いつもののどかな庭園とは異なる幻想的な空間に、多くの人が魅了された


▼3月で退職する県土木部の出先事務所長にインタビューする機会があった。印象に残っている仕事について尋ねると、「平成20年に公園街路課にいたとき、偕楽園の魅力度向上のために市民団体と懇談会を開いた。そこからライトアップなどさまざまな企画を実現していったこと」と語ってくれた。偕楽園は、水戸藩第9代藩主の徳川斉昭が「民と偕(とも)に楽しむ場に」という思いを込めて造った。その思想は脈々と受け継がれている


▼2月から始まった大河ドラマ「青天を衝(つ)け」。〝日本資本主義の父〟と呼ばれる渋沢栄一が主人公。青年期には水戸藩の「尊王攘夷(そんのうじょうい)」を学び、徳川斉昭の子で第15代将軍の慶喜に仕えた。〝人間の道理を第一にすれば、豊かな結果がもたらされる〟といった意味の「順理則裕(じゅんりそくゆう)」を心に刻んでいた


▼経営の神様、松下幸之助も水戸にゆかりがある。水戸黄門こと徳川光圀(みつくに)の育ての親である三木之次(ゆきつぐ)。その子孫の三木啓次郎が若き日の松下を出資して助けた。大成した松下は、かつてのテレビドラマ「水戸黄門」のスポンサーとなって恩を返した。松下もまた、経済的豊かさと心の豊かさの両立を説いていた


▼デジタル化で人が軽視されがちな今だからこそ、人の道を尊重した先人から学ぶべきものがある。どんなに機械化が進もうとも、社会をつくるのは人であり、その心である。(茨城・KS)


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