コラム

2021/03/25

できたらいいなと思うけど(埼玉・YF)

できたらいいなと思うけど


▼国民的漫画「ドラえもん」の作者である藤子・F・不二雄氏が生前出演したドキュメンタリー番組を見る機会があったが、考えさせられる内容だった。特に印象深かったのが同氏が主人公・のび太について言及した場面。「彼はダメ人間だけど、誇っていい点がある。『今よりはいい人間になりたい』と年に2~3回は反省することだ」と述べたのだ


▼「このままじゃ駄目だ」と一念発起する瞬間は自分にもある。しかしのび太同様、9割方継続できずに終わってしまう


▼今年の目標は「職場の机をきれいにする」だったが、年度末の忙しさで3日ならぬ3カ月坊主の体たらくになっている。昨年は継続的な運動をとエアロバイクを買ったが、いまや部屋干し竿となる始末。過去に資格を取ろうとして続かなかったことは数知れない


▼それでも「今より良くなりたいと思う心に真はある」という言葉に、いたく感動した。しかし同時に思う。のび太は小学5年生だ。モラトリアム期間にも達していない幼少期ならば、埒(らち)が明かない一念発起に保護者然と「えらいね~」と考える向きも分からなくもないが自分は違う。何となれば、いい歳をした社会人なのだ。何か物事を成し得るというプロセスに、一定の基盤があってもいい頃だ


▼というわけで最近は、自分の出来不出来を見定め、できないことはスッパリとあきらめるということに終始している。しかし「あんなこと、できたらいいな」と無限の想像力を働かせ、夢や希望は持ち続けていたいとも感じる。両者の間でバランスを取り続けるのが現実的な身の処し方なのかと、このごろ思う。(埼玉・YF)


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