コラム

2021/07/10

終わりなき国土強靱化(茨城・YM)

終わりなき国土強靱化


▼茨城県常総市に多大な水害をもたらした関東・東北豪雨から、間もなく6年が経過しようとしている。当時の被害が契機となった鬼怒川緊急対策プロジェクトが、ことし6月に概成を迎えた。2016年から約5年間で総事業費約780億円を投じ、工事180件、69者が携わる大事業となった


▼19年には令和元年東日本台風が関東地方を襲った。復旧・復興を行う作業員たちが、文字通り不眠不休で現場対応に当たったことは、まだ記憶に新しいだろう。当時の傷痕を癒やし、一層の強靱化を図るため、県内では那珂川と久慈川で緊急治水対策プロジェクトが立ち上がった


▼「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の予算は20年度で終了した。代わって全体15兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が20年度補正から開始。21年度分の事業規模が4・2兆円になることが6月に判明した


▼加速化計画の目玉は、氾濫域も含めて一つの流域として捉える対策「流域治水プロジェクト」ではないだろうか。ハードのみの防災では限界があるため、ソフト面と一体となった事前防災対策だ。ある自治体幹部を取材すると「今までとは全く異なる治水対策であり、まさに発想の大転換だ」と熱を込めて説明してくれた


▼近年、激甚化・頻発化する大災害、将来予想される大地震は、われわれの準備を待ってくれない。だからこそ、社会情勢とは関係なく国土強靱化への歩みを止めてはならない。一刻も早く完成させることは建設業界の最優先事項であり、使命に違いない。終わりなき国土強靱化への道は始まったばかりだ。(茨城・YM)

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