コラム

2021/07/28

何気ない道路でも(群馬・KK)

何気ない道路でも


▼山間部を車で走行していると、険しく傾斜が厳しい場所にも舗装された道路が整備されている。中には、よくこんなところにまで舗装された道路を整備したなと感心することが多々ある。道なき道を切り開き整備を進めた、建設に携わった方々に頭の下がる思いだ


▼総務省統計局が発表した2019年の労働力調査結果によると、高齢者と言われる65歳以上の就業者数は、建設業においては82万人となっており、高齢者の割合が多い業種の一つである。また、厚生労働省が18年にまとめた雇用動向調査によると、建設業における55歳以上の就業者の割合が約3割、29歳以下が約1割となっており、担い手不足は顕著だと言えるだろう


▼このように建設業では、若年層の就業者数が少ないために、熟練された技術を継承する人材が育たない状況にある。一部では最新のICT技術を活用して、技術の継承をAIで行う動きもある。AIで技術を継承することは可能かもしれないが、作り手の思いを継承することは不可能だろう


▼ものづくりは、作り手の気持ちが現れやすい。作り手の気持ちがこもっている構造物は、完成後にもその感情が現れているように感じる。身近にある建物や小さな川に架かっている橋梁でも、その一つ一つの構造物に作り手の思いがあり、人生があるのだ


▼日ごろ利用している何気ない道路にも、必ず誰かの思いが詰まっている。その道路整備に関わった人たちからその家族まで、一人一人の思いが詰まっているのだ。そう思いながらいつもの道路を通行すると、また違った感情が湧いてくるだろう。(群馬・KK)


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