コラム

2021/08/04

声なき声を拾うために(群馬・KO)

声なき声を拾うために


▼東京オリンピックの卓球における新種目となった混合ダブルスで日本の水谷隼選手と伊藤美誠選手のペアが、卓球王国中国を相手に金メダルを勝ち取った。中国ペースで進んでいた試合からの逆転劇に、大きな感動を覚えた人も多いのではないか


▼伊藤選手とペアを組んだ水谷選手は4大会連続のオリンピック出場となり、全日本大会で10回の優勝を経験するなど卓球界において実績のある選手だ。そんな水谷選手は2012年、ロンドンオリンピックの開催後、記者に対して海外選手を中心に横行していた卓球ラケットのラバー部分にグルーやブースターと呼ばれる接着剤を使用するという不正の問題を訴えた。しかし、その後も検査体制などは改善されず、黙認といったかたちで進んでしまった。その後、改善が見込めないとし国際大会のボイコットも行っている


▼このような告発を行えば、当然ながら選手生命すら危ぶまれる。しかし、世界における卓球界の今後を考え、自分を犠牲にしてまでも問題の改善を訴えたのである。自分が水谷選手の立場であれば、このような行動はできただろうか


▼建設業界内でも現場労働者の待遇改善といった問題はたびたび取り上げられている。水谷選手と同様に声を上げれば今ある立場が危うくなるという危惧により、おかしいと思いながら声を出せない、上げられない人も多くいるのではないだろうか


▼そんな、いわゆる「声なき声」を取り上げるのが、われわれ新聞社の使命である。今後も記者として地道な取材活動を重ね、少しでも建設産業の発展のために、尽力できればと思っている。(群馬・KO)


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