コラム

2021/08/05

新時代を迎える木造建築(東京・KK)

新時代を迎える木造建築


▼「杜のスタジアム」として誕生した国立競技場など東京オリンピック・パラリンピック競技大会のために新設された会場の多くでは、各所に木材が使われている。東京五輪の開会式や陸上競技の舞台となった国立競技場の建設に当たり、スギを中心として47都道府県の産地から集めた木材が使われたことは有名な話


▼とりわけ国立競技場や有明体操競技場は、日本の伝統的な木造建築の要素を取り入れたことが外観からも分かりやすい。本来であれば、日本の木の素晴らしさを多くの海外の人々に知ってもらえる絶好の機会だった。残念ながら無観客となってしまったが、テレビの画面等を通じて世界に日本建築の美しさが伝わったと信じたい


▼木材を取り巻く環境は最近、大きく変わっている。6月に公共建築物木材利用促進法が一部改正され、新たに法律の題名を「脱炭素社会の実現」を加えたものに変更し、木材の利用促進に取り組む対象も民間建築物を含む建築物一般に拡大した。木材利用促進月間の始まりに合わせて10月1日から施行される


▼政府が進めるCLT(直交集成板)の活用促進により、民間施設では高層の木造建築物が増えてきた。木質ハイブリッド集成材等を用いることで、4階建て以上の官庁施設でも木造化を目指す検討が始まっている


▼いわゆる「ウッドショック」が日本で話題になるということは、それだけ木造住宅をはじめとする木造建築物の需要が多いという証拠。国産材を長期・安定的に調達するためには、林業の存続を含めた体制づくりの構築が急務だ。世界に誇る日本の木造建築の価値を見直す時期に来ている。(東京・KK)


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