コラム

2021/09/02

晩ご飯難民、不夜城を思う(茨城・YM)

晩ご飯難民、不夜城を思う


▼「なんてことだ。お店がもう閉まっている」。時刻は午後8時過ぎ。仕事が終わって急いで行きつけのお店に晩ご飯を食べに行くと「準備中」の札がぶら下がる。時短要請で飲食店は軒並み閉店。「晩ご飯難民」と化して、持ち帰り可能なお店を探すことに


▼持ち帰りが続くと飽きてくる。結果「晩ご飯を食べない」という発想に行き着いた。「お腹が空くかも」と思ったが、朝起きると清々(すがすが)しい気分で身体が軽い。「晩ご飯は食べなければいけない」という固定概念(当たり前)があったらしい。食べる時間は走る時間に変わった


▼飲食店の灯(あ)かりが午後8時を境に消える一方、8時以降も光を放つ高層施設がある。県庁だ。平日・休日を問わず、夜中まで電気がついているため、個人的に「不夜城」と感じている。強制退庁時間がない限り、残業の夜景は消えないかもしれない


▼長時間労働に頭を抱える建設業では、「時間外労働の上限規制」に関する改正労働基準法(2019年施行)が、24年4月からいよいよ適用される。規制を順守しない企業には懲役や罰金が科される内容だ。長時間労働削減へ、取り組むべき課題は企業によって異なるが、24年4月が建設業の大きな転換期となることは間違いない


▼大半の人はルールの中で成果が上がるよう知恵を絞る。自身の当たり前を疑い、重要なものを取捨選択。すると時間的余裕が生まれ、期限内に成果を上げやすい。「残業は当たり前」が終わったように、環境の変化に適応しなければ、時代と社会に取り残されて廃れてく。元・晩ご飯難民が不夜城を横目に走りつつ、夏の夜道で思う。(茨城・YM)


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