コラム

2021/09/10

鬼怒川決壊から6年(茨城・TI)

鬼怒川決壊から6年


▼ことしも秋雨前線の影響で9月に入ってから天気が悪い日が続いており、肌寒さすら覚える。8月には全国的に大雨となった。台風の季節を考えると、以前より8~10月は雨の印象が強くなっているように感じる。特に強く印象付いたのは、2015年9月に発生した関東・東北豪雨だ


▼いまでこそよく聞くが、当時は初めて耳にした線状降水帯による豪雨で、出身地である常総市の鬼怒川堤防が決壊した。決壊から約6年を経て、鬼怒川緊急対策プロジェクトによる堤防復旧や治水対策が概成を迎えた。地元の復旧復興にほっとするとともに、「もう6年前なのか」と感慨深い


▼思い出してみると、鬼怒川が決壊した時は別の県におり、就職活動に励んでいた。決壊の様子はテレビにかじりつくように見ていた。その後に取材で決壊現場を訪れることになるとはつゆとも思っていなかった


▼決壊した堤防や流された道路など、見知った土地の変わり果てた姿に、ぼうぜんとしたのを覚えている。自然の脅威といってしまえば簡単だが、荒れた被災現場のようすは筆舌に尽くしがたい。迅速な復旧、そしてプロジェクトの概成に尽力した方々に感謝してもしきれない


▼先日、再び決壊現場に行ってみた。洪水が起きたとは信じられないほど、きれいに復旧した堤防に安心とともに、不安を覚える。国も流域全体で水害に備える流域治水プロジェクトを打ち出すなど、方々でいわれているように、想定以上の災害は今後も起こり得る。水害に限った話ではない。命あってのものだね、備えすぎるということはないだろう。できることから始めよう。(茨城・TI)


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