コラム

2021/09/25

トライそしてトライ(新潟・CY)

トライそしてトライ


▼ベトナムに駐在する知人のコラムが興味深かった。ハノイ市の新型コロナ感染症新規感染者は1日100人以下だが、事実上のロックダウンで、出勤時にも身分証や通行許可証が必要となった。おふれの翌日は大渋滞、証書を求める人で混乱を極め、規制は即撤回された。方針転換はよくあることで、トライアンドエラーに対する寛容さが、国の勢いにつながっていると見る


▼不足する半導体の工場進出が続く国だ。増設を急ぐゼネコン関係者は「ぎりぎりで提案した工期のさらなる短縮を求められる」とこぼし、感染禍が追い打ちをかける


▼国内でも、工期の悩みが常の建設業界は岐路に立つ。2024年度からの時間外労働上限規制。周囲を見回すと、土曜日に国の現場が動いている。発注者いわく「代休を指導し、評価制度も設けるが、冬場は悪天候が続く新潟。冬前に終えるため、前倒しで作業を進めたいという思いがあるのだろう」


▼現場からは、日給制の技能労働者に対するしわ寄せを心配する声が相次いだ。月給制に移行する体力を持ち合わせない場合が多く、手取りが大きく減るためだ。作業員に支えられているという気持ちが伝わってきた。経済の原理原則と制度の目的、この相容れないジレンマ。先の発注者は「これまで下請けさんの話を聞く機会がほとんど無かったので、こうした声を反映する必要性を感じている」という


▼変化に適応するには、気力体力、いろいろな調整、そして時間を要する。が、変わっていこうという思いは同じ。一丸となったトライに次ぐトライの先には、以前とは違う光が確かに見える、そんな気がした。(新潟・CY)


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