コラム

2021/10/15

心温まる粋な計らい(茨城・KS)

心温まる粋な計らい


▼東日本大震災から間もないころ、置時計を新調しようと九州の時計店でネットショッピングをした。届いた時計には被災を見舞う手紙が添えられており、送料のサービスまでしていただいた。粋な計らいにとても感動したことを覚えている


▼「粋」とは〝意気〟から来ており、「気風がよく格好いい」といった意味合いを持つ。服装だけでなく、心意気を褒めるときにも使われる。人が喜ぶことをさらりとやってのけるといったイメージだ。最近、猫と車にまつわる粋なエピソードがあった


▼難病を患った愛猫の治療費を工面しようと、飼い主は27年間乗り続けた希少なスポーツカーをオークションに270万円で出品。程なくして、動物好きでカーマニアの大阪の建設業経営者が、実車を確認せずに落札。一括で即入金した


▼さらに投薬治療中も落札者は励ましの言葉を送り続け、自社の一角にその車の専用ガレージを設けてあらゆる修繕に着手。猫が回復したあと、飼い主の自宅に聞き覚えのある重低音が響く。見違えるような美しい姿となって愛車が帰ってきた。代理で届けたカーショップのスタッフいわく、猫の快気祝いとのこと。その時、落札者は病気平癒の祈願に訪れた神社にお礼参りに行っていたという


▼思えば建設現場にも粋があふれている。優秀業者表彰を取材してあらためて思う。どの現場も、どうしたら周辺住民や通行者に安心してもらえるかを念頭に、発注者と綿密なコミュニケーションを重ねている。看板一つ見ても、丁寧かつ分かりやすい表現で理解してもらおうという気持ちが伝わってくる。思いやりの連続だ。(茨城・KS)

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