コラム

2021/10/28

技術革新のジレンマ(群馬・TH)

技術革新のジレンマ


▼国土交通省は、この秋から人手による交通量調査を廃止する。路上のカメラ映像をAI解析するなどICTを活用した手法へ切り替える。調査員を雇うコストの削減とともに、カウントの精度向上を図る。調査は5年に1度の頻度で行っていたが、機械を用いることで常時カウントできるという利点もある


▼近い将来、道路脇に座りカチカチとカウントする光景は、見られなくなるだろう。AIは車の判別が苦手と聞いたことがあるが、過去の話のようだ。技術の進歩に驚くと同時に、人の仕事が機械に取って代わられるような印象を受けた


▼技術の進歩によって人の仕事が失われた例はすでに散見される。かつては電車に乗る際、改札口に駅員が立ち、切符にハサミを入れていた。時代は進み自動券売機や自動改札が導入され、多くの手間と人手を削減することが可能となった。この場合、機械によって駅員が担う仕事は減ったが、職を失ったわけではない


▼AIをはじめとする技術革新は加速している。交通量調査のような単純作業を機械が担う例は増えていくだろう。だが調査の受注企業や、現場で作業に当たる労働者にとって、喜ばしい出来事ではない。機械によってコスト縮減をした部分が、社会保障など別の部分で負担となることも考えられる


▼一方で、少子高齢化・人口減少が叫ばれるこのご時世、作業の効率化・コスト削減は避けられない。建設業でもICT施工により、生産性が高まりつつある。このペースで施工の自動化が進み続ければ、現場作業員が必要とされない時代が来るだろう。そんな未来に期待と不安が交錯する。(群馬・TH)


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