インタビュー

2014/03/10

セラミックキャップバー(CCb)工法研究会 金岡会長インタビュー

◎セラミックキャップバー(CCb)工法研究会 金岡会長インタビュー





 鹿島建設とグループ会社のカジマ・リノベイトが共同開発した「セラミックキャップバー(CCb)

工法」が注目を集めている。セラミック定着体を用いた後施工型せん断補強工法で、狭あいな空間で

も施工できるほか、現場での対応がし易い工法となっている。土工や土留工の工種が減少するため、

工程が短縮できるなどメリットも大きい。「セラミックキャップバー(CCb)工法研究会」(本年

2月に発足)の初代会長に就任した金岡稔会長に、同工法の開発経緯や今後について聞いた。


               ◇


――セラミックキャップバー工法研究会の設立のきっかけから、まずお聞かせください。

 金岡 セラミックキャップバー工法の発展に伴い、この工法を当社1社だけでなく、お付き合いのあ

る企業にも施工していただける体制を取ることを意図して10社で研究会を立ち上げました。また、広

報の面では、当社だけのホームページで紹介するよりも、お付き合いのある各地の企業のホームペー

ジに載せることで、発注者である国の機関や全国地方自治体にアピールできると思ったからです。


――セラミックキャップバー工法はどういった工法なのでしょうか。

 金岡 この工法は鹿島が特許を保有し、当社が鹿島と共同で一般財団法人「土木研究センター」の

技術審査証明を取得しています。また、国交省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録済

みです。既設のコンクリート構造物に、ファインセラミック製の定着体を両端に取り付けた鉄筋を挿

入することで、せん断耐力がさらに高くなります。?内空側からしか補強工事を実施できない地下構

造物などに適用できること?塩害環境下等においても定着部の耐久性が確保されることが特徴です。

 阪神大震災や東日本大震災の時、供用中の鉄筋コンクリート構造物のなかに、せん断耐力が不足し

ているものが相当数あることが分かりました。コンクリート梁部材において、部材のせん断強度を高

めるために軸方向鉄筋を取り囲むように梁と直角方向に配置させるスターラップというものがありま

す。スターラップとは鉄筋コンクリートの梁の主筋に一定間隔で垂直に巻きつけた鉄筋のことで、こ

の鉄筋の量が不足していたのです。それが如実に現れたのが阪神大震災の時でした。

 震度7クラスの地震が起こった時に、外部の力に負けて鉄筋が破断しないためにはどう補強すべき

か、柱だと鋼板やコンクリートで囲うとかすると強くなりますが、施工が片側からしか実施できない

地下構造物は、セラミックキャップバー工法を用いれば耐震性をさらに高めることができます。


――このような工法は他社でも類似したものがあると聞いていますが。

 金岡 他社でも類似した工法はありますが、当社の工法は定着体がファインセラミック製であるた

め、コンクリート表面付近に、せん断補強鉄筋の定着部を配置でき、高いせん断補強効果が期待でき

ます。この工法は既設構造物に削孔を行い、その孔内にセラミック定着型せん断補強鉄筋を挿入し、

グラウトで固定することにより構造物との一体化を図ります。構造物を増し厚することなく、部材の

せん断耐力を向上させ、じん性を確保する工法です。


――セラミックを使用した最大の理由は?

 金岡 金属だとサビの問題があります。サビない材料を使おうということでセラミックにしました。

セラミックは耐食性に優れており、定着体をコンクリート表面付近に配置できることから、定着部の

耐久性を確保するとともに、優れたせん断補強効率を実現できます。

また、セラミックは鋼材並みの強度があり、耐震補強技術に必要なものです。特に地下構造物では内

空側からしか補強工事を施工できず、これまで耐震補強は進んでいませんでした。しかし、この工法

を開発したことで地下構造物の耐震補強はかなり進んでいます。


――2009年以来、5年間で6万本以上の実績があると聞いていますが。

 金岡 昨年の暮れで6万本以上を達成しています。今年中にその倍以上の

14~16万本に達する可能性は大です。今までは、主として下水道関連分野で使われています。今後は

下水道関連分野だけでなく、発電所の水路、河川海岸の水門、樋門・樋管、半地下道路の擁壁などに

使用してもらえるよう、国の機関や全国の地方自治体はじめ各企業者にアピールしていきたいと思っ

ています。 


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