国土交通省 徳山事務次官就任インタビュー
国土交通省の徳山日出男事務次官は建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、「ピンチはチャンス」と強調して建設業が抱える中長期的な課題の克服に意欲をみせた。
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今後10年が「日本の命運を決する」と言われる重要な時期に就任が決まった徳山次官は「大変身の引き締まる思い」としながら、「安全と成長を果たせる道筋をつくらなければならない。初心に帰って本当に信頼される業界となり、信頼に足る業績を上げていかなければならない」と力を込める。
来年度の概算要求で国交省は初めて「経済再生と財政健全化の両立を目指す」ことを盛り込んだ。「謙虚にきちんとやろうという姿勢を示した。昔は極大化を目指したが、今は最適化を目指している。小さな予算で最大の効果を出すという考え方で、これまでとは大きく変わったところ」とする。
「ピンチはチャンス」と話す徳山次官は「建設業界では生産性を上げようとしているが生産性を上げようと言えるチャンスはそうはない。ここ20年の景気は下降局面だったが、受注高が減るほどには人は切れないから労働生産性は下がり、余剰人員を抱えるようになる。そこで生産性を上げようということにはならない。中長期的に労働力不足になることが見えている中で業績が緩やかに安定してきたからこそ、今やらなければできない。今後、数年が建設業の中長期的な課題を克服する絶好のチャンス。5年前、10年前に我々の社会的な居場所がどんなに低いところだったかを思い出す必要がある。世間の見る目も変わってきた中で、守りに入ったら駄目で、さらに前に行かなければならない。試練の年だがチャレンジの年でもある」と前向きな姿勢をみせる。
徳山次官は「地域の建設業が必要であるということは4年前に決着が付いたと思う」としながら、「これからも安定的に予算を確保すべきとは思っているが、その中でさらに生産性を上げることで企業の経営状態や働いている方の処遇を改善することが王道。人手が足りない時代が来るからこそやり易い。前向きに見ればチャンスで、経営者も勇気を持って踏み出さなければならない。経営者の覚悟が試される」と意識改革の必要性を促した。
とくやま・ひでお
1957年1月生まれ。岡山県出身。1979年東大工学部卒、建設省採用。関東地方整備局道路部長、道路局地方道・環境課長、同局企画課長、東北地方整備局長、道路局長、技監を経て、2015年7月31日から現職。