国土交通省 森昌文道路局長就任インタビュー
国土交通省の森昌文道路局長は、建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、「道路は国民の生活や社会構造を支える基本的なインフラ。今後も、その機能が十分に発揮できるように維持更新を含めて全体のネットワーク効果を最大限高めることを目標に事業を進め、制度改善に努めたい」と抱負を語った。
国交省では道路の開通目標年度を公開する取り組みを進めている。森局長は「道路は地域構造を変えてしまうほどの大きな影響を与えるインフラであり、企業の投資促進や自治体の地域経営支援を進めるためにも、大きな道路事業に関しては開通目標年度をはっきりさせるように努めている」と説明。道路が持つ「ストック効果」を最大限に発揮させることに大きく貢献していると指摘する。
来年度予算においても、大きな「ストック効果」が発現できる場所や道路を賢く使う施策を重点的に進める考えを示した。
道路の老朽化対策に関しては、市町村にとって点検や維持更新が負担になっているとした上で「予算のほかに人材の面も大きな課題として重くのしかかっていることが分かってきたため、国としては点検の応援や更新に対する支援も新たな制度に加えた。われわれ国の技術集団の底上げは当然ながら、自治体の資金力に対する底上げも必要だと思う。高速道路を跨ぐ橋や鉄道と主要幹線との立体交差部分の点検・メンテナンスも非常に大きな課題。地道に点検をし、補修や撤去を綿密な計画の下で進めていきたい」と話す。
また、「市役所や大きな病院、都心の遊休地活用といった都市のリニューアルは道路などのインフラ更新とも連動して議論・整理していかなければならないと思う。全体を議論する場合は自治体の大きな負担になるため、全体的な都市マネジメントをしっかりと打ち出して、ケアする体制づくりが大事になる」とした。
もり・まさふみ
1959年1月生まれ。奈良県出身。1981年東大工学部卒、建設省採用。道路局有料道路課長、同局高速道路課長、同局企画課長、大臣官房技術審議官、近畿地方整備局長を経て2015年7月31日から現職。