国土交通省 【国土交通省就任インタビュー】住宅局長 淡野博久氏「住宅・建築分野で木材活用を」
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国土交通省住宅局の淡野博久局長は、重点的に取り組んでいく分野として①省エネ対策の強化②ストック活用③木造化・木質化―を挙げる。木造化・木質化は、カーボンニュートラルの観点からも重要になるとし「木材需要が一番ある主要な分野は住宅・建築分野。特に非住宅の分野で木造化・木質化を推進していくことで木材需要が安定的に発生し、森林循環にもつながるのではないか」と話す。さらに「足元のウッドショック対応の観点からも、国産材を伐採して製材する川上側が安心して供給体制を組めるようにしていくためには、中小工務店も含めた川下側が国産材を共同で長期にわたって調達していくような仕組みを各地で作っていく必要がある。結果として木材活用が住宅・建築分野で進むような環境整備を行いたい」と抱負を語る。
住宅・建築分野における「2050年カーボンニュートラル」の着実な実現に向けては、国交省・経済産業省・環境省の3省合同の検討会で25年に住宅の省エネ基準適合義務化の方針が示された。淡野局長は「25年には全ての住宅・建築物について適合義務化をした上で、あらかじめ誘導基準に関しては、30年以降を見据えてZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準を引き上げておいて標準化していく。30年以降はそれが最低限の規制値として課せるような市場環境を作っていく」と説明。その前に「当然ながら中小工務店も含めて対応できるように、技術支援も含めて2~3年前に法改正自体を実施しておく必要がある。10月以降に審議会などを開催して意見を伺った上で、最速で来年の通常国会に法案を提出できるように準備をしたい」と意欲を見せた。
老朽化マンションの建て替え・改修等に対しては「老朽化したマンションの再生円滑化は急務であり、(法改正等により)建て替えではなく敷地売却という選択肢が増えることは大きい。多様な選択肢を持った形での再生をマンションでも進めることが可能になってくるので、マンション再生を円滑化していく上で大きな一歩だと思う」と今後の展開に期待を寄せた。
【略歴】あわの・ひろひさ
1989年東大大学院工学系研究科修了、建設省採用。国交省住宅局住宅生産課建築環境企画室長、建築指導課建築物防災対策室長、市街地建築課長、建築指導課長、大臣官房審議官(住宅局担当)を経て本年7月から現職。57歳。山梨県出身。
【写真=3つの分野に重点的に取り組むと語る淡野住宅局長】