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千葉県教育庁

県立中央図書館の耐震改修を計画/本年度で補強方法などの調査を実施

2012/08/03 日刊建設タイムズ

 県教育庁教育振興部生涯学習課は、県立中央図書館の耐震改修を計画している。本年度予算に中央図書館耐震改修等整備事業費として980万円の予算を計上し調査を実施する。調査は6月に改修計画事前調査業務委託の指名競争入札を実施したが、不調となり、現在対応を検討している。中央図書館は開館から43年を経過し、施設の老朽化とともに耐震診断によるIs値が0.25で、耐震改修工事が喫緊の課題となっている。

 本年度で実施する調査の内容は、耐震改修工事の実施に伴う耐震補強方法の調査・検討、追加設備等の改善案の検討及び実現可能性に係る調査など。耐震補強方法の調査・検討では、同図書館が当時としては目新しかったプレキャスト工法を採用していることから、耐震改修が可能かどうかについて調査する。追加設備については、バリアフリー等を考慮したエレベーターの設置や狭隘化している書庫への自動化書庫の導入などについての検討を進める。

 同図書館は1968年6月の竣工。建物規模は、プレストレスト・プレキャストコンクリート造一部RC造地下2階地上5階建て延べ約6171㎡。設計は大高建築設計事務所(東京都渋谷区初台1-47-1)が担当。工事は戸田建設が施工した。

 一方、同庁は昨年度で「千葉県立図書館の今後の在り方」をまとめている。その中で、中央図書館の施設整備について、IT化の進展や所蔵資料のデジタル化、電子書籍の導入とともに利用者の安全確保と適正な施設面における対応が急務として、早急な改修を求めている。

 以下、「千葉県立図書館の今後の在り方」で示された中央図書館の施設整備についての方向性は次の通り。

 【中央図書館の施設整備】

 中央図書館は1968年に竣工した建物で、43年を経過し、施設の老朽化が著しいだけでなく、2006年度に実施した耐震診断でIs値0.25と診断され、耐震改修工事が喫緊の課題となっている。また施設の狭隘化は、社会の変化に対応した県立図書館の役割を果たす上で重要な新たなサービスの展開を困難にしている。書庫の収蔵能力も既に限界を超え、西部・東部図書館へ約30万冊の図書や雑誌を移動せざるを得ない状況にある。IT化が急速に進展することが見込まれる中、所蔵資料のデジタル化や電子書籍の導入についても段階的に取り組んでいくが、図書館のIT化の現状は、図書を直ちに廃棄できるほど進展しておらず、また、すべての県民がIT化に対応できる状況ではない。以上のことから、利用者の安全確保と適正な運営に必要な施設面における対応が急務となっており、こうした状況を早急に解消するため、中央図書館の改修を行う必要がある。なお、現存する施設設備の改修には限界があるため、今後、専門家による検討結果によっては、全てが可能とは限らないが、県立図書館サービスの中核館としての機能が十分に発揮できるよう、おおむね次のような施設整備を目指す。

 ▽施設改修=①利用者の安全確保のための施設の耐震化②老朽化した冷暖房・照明設備や雨漏りの解消③障害者や高齢者等誰もが利用しやすいバリアフリー化の推進④資料保存のための書庫スペースの拡充

 ▽館内整備=①利用者が1か所ですべてのサービスが受けられる(ワンストップサービス)など円滑で効率的なサービスを実現するための館内配置の見直し②インターネット利用環境の改善に伴う施設面の対応③講演会、研修会、おはなし会等を行うための多目的室の整備④貴重資料の展示や様々なテーマの企画展等を行える展示ギャラリーの整備

 ▽書庫=書庫については、収蔵能力の限界を超えているため、新たな整備が必要。所蔵資料のデジタル化や電子書籍の導入を段階的に進めるが、現状は紙媒体の資料、視聴覚資料が中心であり、新しい書庫が整備されるまでの間は、3館で工夫して県民の財産である資料の適正な保管に努める。書庫の整備にあたっては、資料出納時の効率化資料保存機能を強化するために、高密度な収蔵能力が提供できる自動化書庫の導入も含めた検討を行う。

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