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茨城県水戸市

駅前三の丸地区再開発/都市計画を原案承認

2016/10/15 日本工業経済新聞(茨城版)

 水戸市の2016年度第3回都市計画審議会(会長=川島宏一筑波大学大学院システム情報工学系教授)が14日に開かれ、水戸駅前三の丸地区の第一種市街地再開発事業および地区計画が賛成多数で原案どおり承認された。地元地権者などで構成する水戸駅前三の丸地区市街地再開発準備組合はホテル棟やマンション棟などの建設を計画しており、10月下旬の決定告示後、設計者を選定し、早ければ2019年茨城国体前の完成を目指していく。総事業費は約120億円。

 この事業は、水戸駅北口の旧リヴィン跡を中心とする三の丸1丁目地内(A約6750㎡)に20階建てのマンションや11階建てのホテル、立体駐車場などを建設するもの。権利者はマンションデベロッパーの㈱フージャースコーポレーション(東京都千代田区)など10人。コンサルは㈱タカハ都市科学研究所(東京都港区)。

 09年にリヴィンが撤退して以降、同地区では土地の未利用や既存建物の老朽化が課題となっている。市街地再開発事業により、敷地の一体的な土地利用と都市機能の更新を図るとともに、水戸の玄関口にふさわしい交流・まちなか居住拠点の形成、歴史的資源への誘客拠点の創出を目指す。

 冒頭、高橋靖市長は「約7年にわたり未利用状態が続き、建物の老朽も進んでいる。水戸の顔ともいうべき重要な地区なので、適切に支援、指導しながら、まちの再生を図ってまいりたい」とあいさつ。

 都計審では、市街地開発事業および地区計画について諮問。事務局から概要が説明され、慎重審議の結果、いずれも賛成多数で原案どおり承認された。

 市街地開発事業については、建築物は建築面積約5100㎡、延べ床面積約4万1600㎡、建ぺい率約76%、容積率約458%とし、主要用途は住宅・商業・業務施設・駐車場。敷地は歩行者空間の形成などのため、壁面を道路境界より後退する。住宅建設の目標は約130戸。

 敷地の東側に複合ビル、西側にマンションを配置。駅北口のペデストリアンデッキと敷地北側を東西に走る市道上市267号線と接続する。駐車場は敷地北側の三井住友海上水戸ビルがある位置に立体駐車場を設ける。

 地区計画としては、複合ビルとマンションの間に歩行者通路(L110m、W6m)、敷地西側に歩道状空地1号(L110m、W1m)、北側に同2号(L90m、W2m)を配置。歩行者通路は将来的に弘道館方面まで延伸する見込み。

 建築物等に関する事項では、高さの限度を45mから60mに変更。容積率の最高限度は600%、最低限度は200%、建ぺい率の最高限度は80%、建築面積の最低限度は200㎡。風営法に係る用途やマージャン屋などは制限する。

 マンションの保留床はフージャースへ譲渡。ホテルは4社による入札で決定する。業務床は、準備組合員で理事の三井住友海上火災保険㈱(東京都千代田区)がグループ会社を含めて2フロアを使用する。

 その他の非住宅床は交渉中で、教育文化系や物販系が候補。店舗については権利者が権利床として半分程度を取得するようだ。これらにより、すでに8割強の処分の目途が立っているという。

 市は9月補正で設計費の補助金3億3912万円を予算化。補助金などの支援のみで直接的な関与は行わないが、整備に当たり歴史的な地域景観への配慮を要望している。総事業費は約120億円を想定し、国や市の補助金は40億円程度となるもよう。


 【写真=都市計画を原案どおり承認した】

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