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17年度県内地価/富士山麓で上昇地点

2017/09/20 山梨建設新聞

 県は、2017年度(7月1日基準日)の県内の地価調査結果をまとめた。全用途の平均価格は2万7700円/㎡で、前年から500円/㎡(2・0%)下落した。しかし、富士山麓の別荘地や商業地で上昇地点が見られる。住宅地では、リニア中央新幹線の駅(甲府市郊外)に近い地点で横ばいがあり、将来への期待感が見られるが、上昇地点はない。今後、建設事業の進展に伴い影響が出てくると県では見ている。


 住宅地ではそのほか、農村部や山間部では不動産需要が減退。

 商業地では、富士山周辺の観光地で上昇地点が見られ、甲府市郊外で横ばい地域があるなど好調な地点もあるが、既存商業地を中心に需要が低い市町村が多い。

 一方で、甲府駅前については、南口のロータリー整備などが進むとともに飲食店舗などの集客施設が充実しつつあり、狭い地域であるが県外からの不動産需要が認められる。

 工業地は、需要が回復しつつあり、全国的に見て相対的に割安傾向にあるため、今後、中部横断道やリニアなどのインフラ整備の進展により需要の拡大が期待されると県では見ている。

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 17年度の全用途の平均価格は1993年度(平成5年度)から25年連続の下落。全用途平均の2万7700円/㎡は80年度(昭和55年度)の水準。

 住宅地の平均価格は2万5000円/㎡で、同2・1%減。商業地の平均価格は4万6500円/㎡で、同1・9%減。過去最低の水準となった。工業地の平均価格は1万4000円/㎡で、同1・1%減。工業地も過去最低の水準だった。

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 用途別の概要は次のとおり。

 【住宅地】

 調査189地点(17年度選定替え2地点を除く)のうち、上昇は4地点。富士山麓地域の別荘地で都留―3、山中湖―1、山中湖―2、富士河口湖―3が上昇し、富士山の眺望や立地が良い地点の需要が好調なことを反映している。

 下落幅が縮小している市町村が多いが、一部の市町村では下落幅が昨年と同じ、もしくは拡大。人口の減少傾向が続く中、不動産市場は長期的に縮小傾向にあり、県外からの需要は一部の別荘地などに限定されている。

 また、農村部や山間部では、高齢化や過疎化で不動産需要が減退しており、下落傾向が顕著になっている。

 一方、リニア駅に比較的近い地域では横ばいの地点があり、将来に対する期待感が見られるものの、上昇地点は現時点ではない。今後の建設事業の伸展などに伴い、影響が出てくると県では見込んでいる。

 価格上位地点は次のとおり。

 ◆1位=大月市御太刀2丁目字大原853の11(大月駅北東約440m)=6万2800円/㎡(前年比0・5%下落)

 ◆2位=甲府市屋形2丁目2409の4(甲府駅北約2・2㎞)=6万100円/㎡(前年と同じ)

 ◆3位=上野原市上野原字ハサマ4133の9(上野原駅北約3・2㎞)=5万9000円(前度比1・8%下落)

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 【商業地】

 44地点(17年度選定替え2地点を除く)のうち37地点がマイナス。

 一方、都留市、山中湖村、富士河口湖町で上昇地点が見られ、甲府市郊外の路線地域で横ばいが見られるなど、好調な地域もあるが、既存の商業地を中心に需要は低迷し、下落が続いている市町村が多い。

 富士山麓の河口湖を中心とする観光地では、インバウンドによるほか、日本人観光客の入り込みも堅調で、地価の上昇や横ばい地点が見られる。

 甲府市の中心商業地では、新規の出店は低調で需要が弱く、ビルのテナント需要も減退している。ただし、甲府駅前については、南口のロータリー整備などが進むとともに飲食店舗などの集客施設が充実しつつあり、狭い地域であるが県外からの不動産需要が認められる。

 価格上位地点は次のとおり。

 ◆1位=甲府市丸の内2丁目542ほか(甲府市役所西の甲府第一生命ビル)=18万3000円/㎡(前年比1・1%下落)

 ◆2位=甲府市中央1丁目165ほか(岡島百貨店南のきぬや)=9万2500円/㎡(前年比1・2%下落)

 ◆3位=上野原市上野原字仲新町1607の2(国道20号沿い喜志化粧品)=7万3000円(前年比1・4%下落)

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 【工業地】

 全14地点のうち2地点(甲府9―1、富士吉田9―1)が横ばい、12地点がマイナス。

 県外への移転など生産拠点の統廃合の動きは落ち着いてきており、製造業の新規の進出も見られるなど、工業地に対する需要は回復しつつある。甲府市や韮崎市など工業地の空きが少ない地域では今後、地価への影響が予想される。

 県内の工業地は、全国的に相対的に割安傾向で、今後、中部横断道やリニアなどのインフラ整備の進捗と伴に需要の拡大が期待される。


【表=17年度県内の用途別地価調査結果】

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