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県の来年度予算編成方針、投資的経費は防災・減災に重点、新規施設は原則建設せず

2017/10/21 長野建設新聞

 県が2018年度当初予算の編成方針を公表した。現時点での仮試算(国予算の動向などで変動する)では歳出は8596億円。このうち「裁量的経費」(公共事業費・施設運営費・事業補助金など)は原則として本年度当初と同額としつつ、長野県立大学経費を反映して1997億円としている。なお歳入は8484億円の仮試算で、財源不足は112億円に上る。事業見直しや財源確保で対応する方針だが、国の動向によっては収支不足が拡大する懸念も示している。来年度の施策は、現在策定中の次期5カ年総合計画に沿った事業を重点的に実施していく方針を。限られた人員・予算を踏まえ、新規事業や既存事業充実など歳出増となるものは類似事業の廃止や縮小、経費削減などで対応する。投資的経費は防災・減災に重点化。新規施設建設は行わないことを原則とする(統廃合など特別な事業は例外)。

 歳出においては、社会インフラ(庁舎・学校・病院・道路・橋梁など)について▽市町村などとの連携による管理集約化、PFIなど民間資金活用を進めるともに、施設のあり方を根本から検討する。また既存施設は耐震化や長寿命化を計画的に行い、「造る」から「直す」に重点化を図る。500万円以上の修繕・改修工事は、緊急性などを評価し、優先度を明確にしていく。

 県単独補助金は、補助率引き下げや国庫補助金への任意上乗せ廃止を検討する。

 債務負担行為は必要性や妥当性を精査して最小限とする。

 歳入においては、社会資本整備に充てる建設事業債について県民生活に身近な事業に厳選して活用。当初予算での発行は極力抑制する。ただし災害対応などには財源として活用する考え。

 地域課題の解決に向け、これまで以上に現地機関や職員の意見を反映させ、現場の視点で事業を行う。

 各部局は編成方針を踏まえ、2018年度当初予算要求基準に沿って年間所要額を見積もり、要求する。要求概要公表は12月内に、知事査定は来年1月下旬から行われる。当初予算案の決定・公表は2月上旬になる見通し。

 なお予算要求基準では、補助公共事業については「国の動向を注視しながら適性額を要求」、県単独公共事業費は「公共事業評価を踏まえた上で事業箇所を厳選、17年度当初予算額範囲内で要求」、国直轄事業負担金は「国の動向を注視しながら適正額を要求」、災害復旧費は「過去の実績を勘案し所要額を要求」としている。

 現時点での2018年度当初予算一般会計財政見通し(仮試算)は以下の通り。

◆歳入=8484億円

▽県税・地方交付税・臨時財政対策債等=5884億円

▽建設事業債=584億円

▽その他歳入(国庫支出金、使用料・手数料、諸収入など)=2016億円

◆歳出=8596億円

◇削減が困難な経費

▽義務費(人件費、交際費、扶助費)=3927億円

▽社会保障関係費=993億円

▽その他義務的経費(税市町村交付金、中小企業融資制度資金、災害復旧費など)=1679億円

◇裁量的経費

▽その他行政費(公共事業費、施設運営費、事業補助金など)=1997億円

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