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県議会土木企業委員会が災害に強い県土づくりへ提言/地元建設業担い手育成を

2017/12/14 日本工業経済新聞(茨城版)

 県議会土木企業委員会(先﨑光委員長)は「災害に強く、誰もが安全・安心に暮らせる県土づくり」に関する提言書をまとめた。12日の常任委員会で、富永幸一県土木部長および中島敏之県企業局長に手渡した。主な内容としては、大規模災害への対応や、災害時における関係団体等との連携を盛り込んでおり、地元建設業の担い手育成に向けた取り組みの推進などを提言している。提言書を受け取った富永部長は「提言の趣旨を十分に踏まえ、今後とも土木部一丸となって、地域の安全・安心の確保に努力してまいる」と応じた。

 本県では、東日本大震災や竜巻、関東・東北豪雨災害などにより災害対策の重要性が再認識され、県議会では2016年に大規模災害対策調査特別委員会が設置された。

 大規模災害対策のあり方などについて調査の経過や結果が報告され、土木企業委員会では、「災害に強く、誰もが安全・安心に暮らせる県土づくり」を重点審査テーマとし、閉会中委員会における審査や参考人からの意見聴取、県内外調査などを行い、今後取り組むべき方策について検討した。

 提言書では、「大規模災害への対応」「災害時における関係団体等との連携(連絡体制および応急復旧体制の確立)」の2つのテーマについて課題を抽出し、目指すべき方向性と展開すべき今後の施策を示した。

 このうち大規模災害への対応については、①道路の対策②河川・海岸、土砂災害対策(豪雨から人命・財産を守る対策、津波から人命・財産を守る対策)③港湾の対策④県営都市公園の対策⑤下水道の対策⑥建築物の対策⑦水道の対策―の各テーマを設定。

 道路対策では、緊急輸送道路ネットワーク機能強化のため、東関東自動車道水戸線の全線開通や圏央道の4車線化、直轄国道の整備促進・未事業箇所の新規事業化に向け、国や東日本高速道路㈱に継続的に要望することを求めた。

 県管理道路については、復興・創生期間内の橋梁の耐震化や交通阻害箇所の解消、津波対策の推進を盛り込んだ。

 河川・海岸、土砂災害対策は人命・財産を守ることを主眼とし、河川の改修や適切な維持管理、長寿命化計画の策定・更新について触れている。

 港湾対策については、防波堤や防潮堤などの整備、特に重点整備区間の早期完成を求めた。

 県営都市公園対策では、完成後30年以上が経過する洞峰公園などの老朽化施設について、防災機能の強化や計画的な修繕・更新の推進を提言。非常用トイレや防災パーゴラ、かまどベンチなどの防災施設のさらなる整備も求めている。

 下水道対策の主な内容は、耐震対策計画やストックマネジメント計画などによる効率的なハード対策の推進、適切な初動対応のための体制の充実・強化など。

 建築物対策では、防災上重要な市町村施設の早期耐震化、民間建築物における耐震化に係る個人負担の軽減、応急危険度判定士養成講座会への積極的な参加の呼び掛けなどを提言。

 水道対策は、計画的・効率的な耐震化や減災の取り組みなどを求めている。

 一方、災害時における関係団体等との連携については、非常用電源の確保、燃料供給体制の確立といった代替機能確保体制の強化を提言。

 さらに、持続可能な産業として地元建設業の担い手育成に向け、公共工事の施工時期等の平準化、総合評価方式入札等を活用した地元建設業者の受注機会の確保、若年者の入職促進、就労環境の改善への取り組みを求めた。


 【写真=先﨑委員長(左)が富永土木部長に提言書を手渡した】

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