記事

事業者
その他

堤防24カ所、掘削39カ所で概ね30年間で/久慈川水系河川整備計画原案

2018/03/24 日本工業経済新聞(茨城版)

 国土交通省常陸河川国道事務所や県など県内の久慈川流域の行政機関による久慈川河川整備計画連絡会議が23日、水戸市の同事務所で開かれ、久慈川水系河川整備計画の原案について協議した。原案は、河川整備計画の目標や実施事項などで構成。計画期間は概ね30年間で、堤防整備を24カ所で、河道掘削を39カ所で、浸水防止対策(輪中堤や宅地かさ上げなど)を4カ所で行う。

 そのほか、地震・津波対策で樋管の耐震対策を2カ所で、危機管理対策の小島河川防災ステーション(常陸太田市)の整備を実施する。

 河川整備計画原案は、3月28日開催の有識者会議でも議論し、3月下旬から意見募集や公聴会を行って案としてまとめ、関係機関との調整を経て計画として策定する。

 原案によると、久慈川水系河川整備計画の対象区間は、久慈川、里川、山田川の3河川の延長47・8㎞。

 流量の整備目標は、基準地点山方で、戦後最大洪水の1986年(昭和61年)8月の洪水と同規模の3000立方m/sとし、洪水による災害の発生防止または軽減を図る。

 河川工事については、堤防が整備されていない区間や標準的な堤防断面形状に対して高さや幅が不足している区間で築堤を行う。堤防法面は、緩傾斜の1枚法を基本とする。堤防は、氾濫した場合の被害ができる限り小さくなる整備手順で行う。主な整備箇所は、久慈川左岸6・0k~6・3k付近(日立市下土木内町~神田町)、久慈川右岸2・0k付近(東海村豊岡)など。

 河道掘削については、洪水を安全に流下させるのに必要な箇所で実施する。掘削などにより発生する土砂は築堤などに有効活用する。また、民間事業者による河道掘削の代行を条件とした砂利採取を促進し、費用の縮減に努める。河道掘削等の箇所は、久慈川左岸3・6k~4・5k付近(日立市留町~東海村竹瓦)、久慈川右岸2・6k~5・2k付近(東海村亀下~石神外宿)など。

 浸水防止対策は、輪中堤や宅地かさ上げなどの治水対策を4カ所で実施する。主な箇所は、久慈川右岸25・4k付近(常陸大宮市下町)など。

 地震・津波遡上対策では、樋管の耐震対策を留排水樋管(日立市留町)、後川排水樋管(東海村竹瓦)で実施する。内水対策では、必要に応じて排水機場を整備する。

 危機管理対策では、河川防災ステーションを常陸太田市小島町に整備するほか、管理用通路、水防拠点の整備、根固めブロック等の資材の備蓄を進める。

 そのほか、河川環境の整備と保全、堤防の維持管理、河道の維持管理、樋門等の維持管理、水質の保全、自然環境の保全、河川空間の適正な利用、景観の保全、不法投棄防砂対策、不法係留船対策などを行う。

 連絡会議では、流域の市村から「河道内の樹木伐採を計画原案に入れていただき感謝する」「地元と調整して掘削を」などの意見が出た。県では、地元の意見を採り入れて早期の計画策定を望んだ。

 常陸河川国道事務所の八尋裕所長は「より良い河川整備計画としてまいりたい。皆さまのご協力を」とまとめた。



【写真=連絡会議】

記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら