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官民一体でより良い長野を/長谷川朋弘部長インタビュー

2018/05/18 長野建設新聞

 本年度、県建設部の当初予算は6年ぶりに1000億円の大台を超えた。建設部長として舵取りを担う長谷川朋弘氏にかかる期待も大きい。「その昔、官の工事分野は直営が主体だった。行政と建設技術者は一体だった。時代とともに仕事がアウトソーシングされるようになり、その間に入札契約という仕切りができた。しかし、現在も長野をいかに良くしていくかという基本は変わらない。災害が起きれば皆で対応する。われわれと建設産業は、ある意味一つだと思っている。共に協力して『より良い長野』をつくっていきたい」。

 本年度を初年度とする新5カ年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」に掲げる「確かな暮らしが営まれる美しい信州」の実現に向け、着実に歩みを進めていく。「長野県は豊かな自然に恵まれている反面、自然災害の脅威も多い。豪雨、豪雪、地震、土砂災害、火山噴火などに対して、ハード・ソフトの両面から防災・減災対策を推し進め、県土の強靭化を図り、県民に安心して住んでいただける県土づくりを目指す」。

 5カ年計画では、10広域ごとの目指す姿も示している。「ビジョンの実現や課題解決に向けて、地域振興局や市町村などと連携して取り組む『地域戦略推進型公共事業』をさらに磨き上げ、観光地域としての基盤づくりや潤いのあるまち・むらづくりなど、本県の強み、魅力を引き出す取り組みを推進する」。

 5カ年計画には公共事業の主な整備箇所と期間内の整備目標も明記。5カ年計画に合わせる形で県強靭化計画も見直した。「他県でも5カ年計画は策定しているが、こうした個別事業の見通しを公表しているところはあまりないと思う。目標を明記することで予算確保の裏付けにもなり、また将来的な見通しを示すことは企業の経営計画や設備投資の参考にもなる」と話す。

 働き方改革関連では、「全工事を対象とした施工者希望型による週休2日の実施」「標準請負約款の改正による社会保険等の未加入対策」「ICT活用工事の拡大」など、さまざまなメニューで環境整備に取り組む。

 発注時期の平準化に関しては、上半期の契約目標を「おおむね7割以上」に設定。初めて「各現地機関で年間発注予定件数の4分の1以上を第1四半期に公告」という方針も打ち出した。委託業務については年度末に集中している履行期間を分散し、3月の完了件数を各現地機関の年間完了件数のおおむね2割以下まで抑えたい考えだ。

 「インフラの整備は脈々と続いて今がある。時代時代で仕事の仕方は違うが、行政も業界も建設に携わる仲間。もちろん節度は必要だが、一緒に建設産業の将来を考え、より良い環境を模索していきたい」。


(はせがわ・ともひろ)1965年6月16日生まれ、52歳。東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了後、92年に建設省採用。国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所長、国交省道路局国道・防災課道路保全企画室長などを経て、2017年長野県建設部技監、18年4月より現職。

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