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長野県,(社)長野県建設業協会

小規模補修の複数年契約 年度内に結論/建協は河川・砂防包括や上限額撤廃も要望/地域を支える建設業会議

2018/08/03 長野建設新聞

 地域を支える建設業検討会議の本年度初の全体会議が7月27日に長野市の長建ビルで開かれた。県建設業協会は県に対する要望事項として「工事量の確保や発注時期の平準化」「小規模維持補修工事の複数年契約」「週休2日対象工事の必要経費の確保」などを要望。このうち小規模維持補修の複数年契約については「庁内で検討を続けており、次回の全体会議で報告できるようにしたい」との回答を得た。

 会議には県から建設部の臼田敦建設技監や藤本済技術管理室長など、建協から木下修会長をはじめ副会長、委員長、部会長などが出席。冒頭のあいさつで臼田建設技監は、頻発する災害に触れ「建設産業は安全・安心の守り手であり、インフラ整備や維持管理の担い手としてなくてはならない存在」と述べた上で、喫緊の課題は担い手の確保・育成との認識を示し、「経営環境の安定と労働環境の整備を一体的に進めていくため、忌憚のない意見をいただきたい」と求めた。木下会長は「西日本豪雨では、まだまだ日本のインフラはぜい弱だと思い知らされた。また、特に中小河川で大きな被害が起きている。砂防・河川を含めた維持補修の体制を整えることで、災害を未然に防ぐこともできるのではないか」と提起した。

 会議では、まず県が昨年度の入札実施状況や担い手対策の確保・育成の取り組みについて報告。続いて協会が要望事項を伝えた。

 工事量確保の要望に対し県は「建設部の本年度予算は6年ぶりに1000億円を超え、直轄負担金を除く純粋な公共事業費で見ても前年度比2.3%増の660億円を確保した。財政状況が厳しい中、公共事業は2014年度以降、毎年増加している」と伝えた上で。引き続き予算確保に努めていくことを約束した。

 発注時期の平準化については「ゼロ県債や柔軟な工期設定に加え、本年度は第1四半期(4~6月)に全体の4分の1を公告する目標を設定した。現在集計中だが、おおむね達成しているのではないか」と回答。一方で「第1四半期の発注件数が増加している実感がない」との協会の認識に対しては、「確かに件数は事務所によってばらつきがあり、また6月の公告が全体の6割ほど。入札手続きの期間や着工までの準備期間を考えると、どうしても手持ちが少ないということは出てきてしまうのかもしれない」と述べた。

 小規模維持補修工事に関しては、協会が管理対象に河川・砂防を含めること、複数年契約、1工事200万円としている上限額の引き上げ―の3点を要望。県は複数年契約について「現在の精算支払方式のまま対応できるか庁内で検討中。次回の全体会議で報告できるようにしたい」と回答。河川・砂防の包括については「道路と河川は性格が違うということで今日まで来ているのだと思う。現状を把握した上、内部で検討したい」、上限額の引き上げについては「研究中」と述べるにとどめた。木下会長は「支流中小河川では、河川に沿って県道が走っているところが多くある。豪雨の際、道路が陥没し、車が流されるという事故も発生している。小規模維持補修工事を担うわれわれが率先して対応しなければいけないと考えている。包括的維持修繕工事への移行ということを、上限額撤廃と合わせて早急に検討し、結論を出してほしい」と重ねて要望した。

 また、週休2日を実施した場合の必要経費の確保については「10月1日より労務費と機械経費(賃料)に補正係数を乗じて経費を計上する」との見通しを示した。

 会議の終わりに藤本技術管理室長は「この会議を通じて思うことは、われわれはまだ道半ばということ。そして人口減少、IT革命という新たな時代に突入し、本会議も発足から10年が経過した。これまでの成果を整理し、今後、この会議が目指す大きなテーマについても本年度議論できればと思う。目標を明確にした上で、共に努力していきたい」と締め括った。

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