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雨中バイパス27億円増額/地すべり対策や交差点形状変更/見直し方針案

2018/08/24 長野建設新聞

 このほど開かれた2018年度第1回県公共事業評価監視委員会で、県は国道148号・小谷村雨中の社会資本社会資本整備事業について27億円を増額する方針案を示した。トンネルの安定性を確保するため、さらなる地すべり対策が必要となったことや、南小谷駅近くの交差点の形状を立体交差に変更することなどが要因。方針案は同委で年内一杯かけて審議し、この答申を踏まえ来年1月に対応方針を決定する。

 同事業はL2010m×W6.5(8)mのバイパス事業。区間内には南小谷駅の西側に姫川を跨ぐ延長132mの橋梁や、延長339m(1号)と延長750m(2号)の2本のトンネルが設けられる。11年度に事業採択され、14年度から工事着手。主要構造物のうち17年度に発注した2号トンネル(L750m)は戸田建設・岡谷組・鷲澤建設JVが、橋梁のP2橋脚は金森建設がそれぞれ受注している。本年度は橋梁下部工(A1、A2橋台、P1橋脚※一括発注)や地すべり対策工の発注を予定。現在、入札・契約手続きが進められている。本年度末の事業進捗率見込みは43.3%、用地進捗率は95.0%。

 県の見直し方針案によると、駅前交差点については平面交差の計画としていたが、事業着手後、付近で歩行者の死亡事故が発生。当該交差点は糸魚川方面からトンネルを出て最初の交差点で、信号機が設置されたとしても、歩行者の多い変則五叉路でリスクが高く、地元から新設道路を高架橋にできないかとの要望があったことを踏まえ、交差点全体をより円滑で安全な形状とする。

 増額費用は8億円。内訳は用地面積が当初の1900㎡から3300㎡に増えることにより2000万円の増額。補償物件が当初の4件から7件に増えることにより4億8000万円の増額。橋梁延長が当初の80mから131.5mに増えることにより3億円の増額。

 地すべり対策に関しては、事業着手前は地形を改変する明かり部について対策を行うものとしていたが、トンネル詳細設計のために行った地質調査で、トンネル上部の地質が明かり部より風化が進み脆い地質であり、地すべり対策を行わないとトンネルの安定性が保てない恐れがあることが判明。このため地すべり対策費用を12億円増額する。

 残土処理については、トンネル詳細設計のために行った地質調査で自然由来の重金属類の存在を確認。対策検討委員会での審議を経て、関連工区の盛土材として使用する処理計画を策定し、必要な費用3億円を増額する。残土量は約10万m3。仮置き場の広さは約230m×約42m。整地や舗装、水路工を施工する。増額費用には盛土場所への運搬、水の侵入を防ぐための排水層・不透水層、飛散防止のための覆土、モニタリング費用も含んでいる。

 さらに14年12月の豪雪で大型車がスタックし、148号が12時間にわたり通行止めとなったことを踏まえ、トンネルの明かり区間に延長118m、幅7.5m、高さ4.7mのスノーシェルターを計画。4億円を増額する。

 これにより総事業費は当初の68億円から95億円に増加する。19年度以降の残事業費は53億8900万円。

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