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長野県,長野県測量設計業協会

UAV測量 来年度に試行/ウィークリースタンスも実施へ/長測協との意見交換で県方針

2018/10/26 長野建設新聞

 県測量設計業協会(佐藤芳明会長)と県建設、農政、林務の3部による意見交換会が24日、長野市のNOSAI長野会館で開かれた。この中で県はICT技術を活用した3次元データの利活用に向けて、「UAV等を用いた測量」について本年度に実施業務を検討し、来年度にモデル事業として試行する方針を示した。週間を通じて時間外労働を避ける取り組み「ウィークリースタンス」についても実施する方向で検討に入ることを伝えた。

 冒頭、県を代表しあいさつに立った建設部の臼田敦建設技監は「頻発する災害を踏まえ、防災・減災対策を加速するため、9月補正予算で27億円余の災害復旧費と、補正額としては過去10年間で最大規模となる41億円余の県単独公共事業費を計上した。速やかに事業を執行するとともに、公告期間の短縮等を行い、適正な工期が確保できるようにしていきたい」と述べた。

 また、担い手確保に関して、測量設計業の仕事を広く一般に知ってもらうことが必要だとし「建設産業の担い手確保と生産性向上に向けて、測量設計業の果たす役割は重要。業界として積極的な取り組みをお願いしたい」と求めた。

 佐藤会長は、国土交通省中国地方整備局の要請を受け、会員が広島県に入り復旧作業に協力していることを報告し、「自分たちのすべきことは安心・安全、そして快適な地域づくりのお手伝いをすることだとあらためて感じたところ。協会もさまざまな研修会を開催し、会員の技術向上に努めている。きょうの会議が県と協会にとって実りあるものになれば」と期待を込めた。

 会合ではまず、県が情報提供を行った。測量・設計業務におけるICT技術の活用については、10月1日付で「UAV等を用いた公共測量」の標準歩掛を設定。まずは路線測量や河川測量での実施を考えており、本年度内にどのような業務が適当かを検討し、19年度にモデル事業として試行する方針を示した。

 設計については、工事がICT活用工事となることを前提に実施を検討。対象は道路や築堤、砂防堰堤の詳細設計等を考えている。現在、ICT活用工事では施工者が3次元起工測量や3次元設計データを作成しており、試行案件では、工事を行う際にこの作業が不要になる。

 また、ウィークリースタンスに関するアンケートの中間集計結果も示された。「週1回のノー残業デー」「週末に作業を依頼し、週初めを提出期限とすることの禁止」「作業に見合った作業期間の確保」「勤務時間外の作業依頼の禁止」に関しては「良い」とする回答が多数を占めた一方で、「午前10時前と午後4時以降の打ち合わせは禁止」については「良くない」との回答も多くあり、県は「一律に時間でルールを縛るのではなく、柔軟な運用が必要ということだと思う」と説明した。

 その上で「記述式でいただいた意見もおおむね肯定的だった。アンケート期間は今月末まで残っており、最終結果をまとめた上で、ウィークリースタンスを実施する方向でルール化を検討していく」と述べた。

 この後の意見交換は非公開で行われた。協会は「発注状況の改善」「技術者の雇用・育成につながる発注業務の拡大」「地域貢献活動に対する評価」「新技術の積極活用」などを要望した。

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