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栃木県県土整備部

県事業連絡協議会川治防災、中橋早期架け替えを要望、高規格幹線道路機能強化を、矢板大田原BPは調査設計

2020/06/20 日本工業経済新聞(栃木版)

 国土交通省関東地方整備局と県県土整備部は、WEBによる2020年度県事業連絡協議会を開催した。本県の補助事業配分額は前年度比3%減の903億6000万円。昨年度に新規採択された国道121号日光川治防災権限代行(日光市)と国道4号矢板大田原バイパス(矢板市、大田原市、那須塩原市)は日光川治防災に1億5000万円、矢板大田原BPに1億円の調査設計費が措置された。県は渡良瀬川に架かる中橋(足利市)の架け替え、重要物流道路や県東西地域高規格道路の整備促進へ従来に増した協力を求めた。

 山岳地帯を抜ける日光川治防災は総延長3・4㎞、総事業費500億円。技術的難易度が高い。矢板大田原BPは総延長7・9㎞、総事業費400億円。新設は矢板市針生~大田原市上石上交差点間の5・3㎞。拡幅は先線~那須塩原市三区町間の2・6㎞。

 中橋は前後の堤防に比べ左岸側で約3m、右岸側で約2m低い。溢水の場合は市街地が浸水する恐れがある。国、県、市が整備検討委員会を設置し、打開策を検討している。今年度は架け替えに向けた調査や設計を計画中。7月6日に会合を予定している。

 国道4号矢板拡幅(矢板市)は総延長6・5㎞区間の現道を改良。総事業費は200億円。今年度は調査費と用地費4億円が配分され、片岡地区ほかの買収に入る。3月23日に都市計画事業が承認され、混雑緩和や救急医療施設へのアクセス性を強化する。

 県の道路交通政策は「とちぎの道路・交通ビジョン」~県土60分構想2016~により①全国・海外と連携する②県内各拠点を結ぶ③地域を支える-交通ネットワークの充実強化を図り、全ての人にとって安全安心快適な移動手段の確保を目指している。

 要望では東北自動車道宇都宮IC以北の6車線化、東北道と北関東自動車道が重複する栃木IC周辺の渋滞対策、国道4号は西那須野道路の早期完成、矢板大田原BPや矢板拡幅の推進、新4号国道は平面交差の解消、圏央道五霞ICまでの6車線化を求めた。

 地域高規格道路は常総・宇都宮東部連絡道路(国道408号)や茨城西部・宇都宮広域連絡道路(国道119号)の整備推進、県東部八溝地域における位置付けに向けた調査、重要物流道路は国道400号三島・西赤田・新富町の整備推進を挙げた。

 県は宇都宮市と芳賀町が進めるLRT事業を積極的に支援。今年度から無人自動運転サービスの社会実装や民間バスで利用可能な交通系ICカード導入助成に着手。特に無人自動運転は交通手段がぜい弱な中山間地域や観光地の移動手段の課題解決に期待を寄せる。

 河川砂防政策は「県民の命を守る河川砂防構想」に基づくハードとソフト一体となった総合的な防災減災対策により「災害に強い県土づくり」を構築。堤防強化緊急対策プロジェクト事業を創設し、溢水はしても破堤させない強靭化策を打ち出した。

 東日本台風で甚大な被害が発生した永野川(栃木市)、秋山川(佐野市)、荒川(那須烏山市)、思川(鹿沼市)、黒川(壬生町)、田川(宇都宮市)、巴波川(栃木市)の7河川は速やかな改良復旧で再度災害の防止に努める。田川と巴波川以外の5河川には341億円を投じる。

 田川と巴波川は関係機関が対策工法を練り上げ、来年度から事業着手の見通し。田川は浸水重点事業、巴波川は激特事業の採択が目標。併せて4月1日からリアルタイム洪水情報の配信を開始。危機管理型水位計、簡易型河川監視カメラを増設した。

 要望は東日本台風を踏まえた鬼怒川、小貝川、渡良瀬川、那珂川の直轄事業による河川整備、渡良瀬川河川整備計画に盛り込まれた秋山川、旗川の整備促進、国河川管理施設の操作に伴う情報伝達徹底、南摩ダム本体工事の早期着手、水特事業の推進を申し入れた。

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